「農業はサイエンス、真実は一つ」 データ駆使してイチゴ農園を経営
京都新聞 / 2023年9月29日 13時20分
3万株のイチゴが、京都府亀岡市のハウス内で育つ。戸田康裕(とだ・やすひろ)さん(37)は、その1株ごとを丁寧に観察し、不要な葉やつぼみを摘み取る。水やりは成長に最適なタイミングを捉えるため、気温や湿度、日照具合などに応じ2ミリリットル単位で行う。肥料も微量な調整を繰り返す。全ては、味も香りも最高においしいイチゴを実らせるためだ。収集した膨大なデータを基に、職人的な社員らと試行錯誤を繰り返す。「人件費をかけ利益を減らす」ような作業だが、信念が後押しする。「農業はサイエンス。真実は一つあり、真実に向かってひもといていくと良いものができる」
異色の農家だ。日本の農家の平均年齢が世界で一番高くなったことや、大切な産業なのに世代交代がうまくいっていないことなどに疑問を持ち、東京大農学部へ進学。農家支援事業の起業に向け、大学院修了後は資金をためるため証券会社に入り、4年で退社した。農家の困り事を聞いて回るうち就農を決意し、2017年に亀岡市曽我部町で農園を開いた。
イチゴで勝負したのは「亀岡は競合が少ない」と考えたから。実は亀岡はイチゴが育つ時期に霧で日照が不足し、一般的にはイチゴ栽培に向いていない。関連論文を読みあさり「日照が少なくても、細かく手入れをすることなどで光合成で作るエネルギーを高め、浪費するエネルギーを減らせる」と確信。1年目から理論が現実に結び付き、高い品質のイチゴが育った。
販売先は高級店に絞る。手間がかかる分を高単価で補うだけでなく、味を高めることにつながる。「味は甘みや酸味などだけでなく香りが大切。イチゴには300種類以上の香り成分がある」。ただ香り成分は機械で分析するのは難しい。どの成分を足し引きすべきか、一流シェフやパティシエの繊細な感覚で評価してもらい、栽培に還元している。
収穫期以外の雇用のためジェラート店を開き、農家に安く資材を販売する事業も展開。温暖化を見据え、マンゴーなどの果樹にも挑戦中だ。
就農した際、義父からは「(農業は)泥舟だ」と忠告された。「自分は沈まなくなってきた」と笑い言葉をつなぐ。「農家がもうかる仕組みをつくり、広めたい」。そのために今日も農業の「真実」を追い求めている。
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