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バスるイラストレーターの正体は… 元社会人野球の投手「見る側の心に刺さる」

京都新聞 / 2023年10月1日 13時0分

「もっと社会的影響力を高めて、地元・信楽をを盛り上げるような活動をしたい」と話す世津田スンさん(甲賀市水口町)

 心理イラスト作家の世津田スンさん(28)は、豊かな表情に動きだしそうなしぐさを大胆な構図と鮮やかな色彩でイラストにする。人間心理を映し出す一見ポップな作品は「見る側の心に刺さる作風」と評される。

 「独学で身につけた心理学を使ってイラストをバズる(流行させる)ことを考える」と言い、ミュージックビデオやCMにも起用された。インスタグラム27万人、ティックトック22万人、X(旧ツイッター)10万人のフォロワーがいるインフルエンサーでもある。

 以前は社会人野球の投手だった。190センチの長身から繰り出す最高速145キロの直球が武器で期待されたが、肩を壊し、公式戦から遠ざかった。支えになったのが中学3年から描いていたイラストだ。

 自身のイラストを生かしたネットショップの売り上げが給料の半分ほどになり、「野球と飲食店従業員の合間に描いてこれだけ稼げるのなら」と独立を決意。両親に「2年で結果を出す」との約束で、名古屋から甲賀市信楽町にある実家の陶器工房に戻ってきた。「イラストの見本市」と言われる図録に掲載され、軌道に乗った。

 先駆者になるにはどうしたらいいか。自問して出した答えが社会人時代に職場環境のつらさから身につけた心理学を生かすことだった。8月8日に発刊された初イラスト集ではイラストの描き方を2章で紹介するが、「核の部分はまねができないと思う」と笑う。

 イラスト以外の活動も多彩だ。母校の水口高で昨年行った「命の学習会」が好評で今年も9月に開催。今月には若者への発信力を期待され、市の広報大使1号を委嘱された。日常に息苦しさを感じる若者向けに動画サイトを開設した。「若者へのメンタルケアは得意分野。自己肯定感につながるような発信ができれば」と話す。甲賀市信楽町。

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