「山が下ってくる。ああ山崩れだ」 昭和28年水害の壊滅的被害克明に、京都・舞鶴の住民が冊子
京都新聞 / 2023年10月5日 16時15分
1953(昭和28)年の台風13号で壊滅的な被害を受けた京都府舞鶴市多門院地区の住民が、当時の住民の回想録をまとめた冊子「よみがえる13号台風の恐怖」を作成した。被害写真や研究者の分析を盛り込み「昭和28年水害(28水)」として語り継がれてきた甚大な被害を次世代に伝えていく。
53年9月25日に襲来した台風13号により、舞鶴市や福知山市、綾部市では河川氾濫や土砂災害が発生。3市を中心に府北部の死者・行方不明者は94人、住宅被害は約3万6千戸に上った。多門院地区では祖母谷川の氾濫や土石流(山津波)で民家33棟が流失、13棟が全半壊、小中学生の姉弟が亡くなった。
回想録は住民12人が執筆して災害から4年後にまとめられ、地元自治会が保管してきた。住民団体「多門院の将来を考える会」が28水から今年で70年となるのに合わせて冊子作成を企画し、舞鶴地方史研究会の廣瀬邦彦会長が翻刻・編集を担当した。
冊子に収められた回想録で、一人の男性は当時の状況を「長く引く針金の様な切れ目の無い雨」と表現。「山が段々下ってくる。大木が立った侭(まま)で。ああ山崩れだ」と振り返る。一夜明けた集落について別の男性は「田も畑も川も荒涼たる砂漠」「目をおおう様な惨たんたる被害に唯々呆然(ただただぼうぜん)とたたずんでいた」とした。
教員の男性は亡くなった姉弟について「2人はかばんを背負い、学校道具を持ち、玄関あたりに待機していたとか。一瞬にして家は山津波に倒壊」と記す。
冊子には土石流で倒壊した住宅の写真や、水文(すいもん)学が専門の大学教授による当日の降水量の推移と回想の相関図を掲載。被災以前の絵図3枚も付けた。
考える会代表で災害を経験した新谷一幸さん(76)は「体験者が少なくなり、風化が進む中で、若い世代に災害のリアルを伝えたい。防災への意識を高めることにつながればうれしい」と話す。
A4判で66ページ。400部作成し、住民らに寄贈した。希望者は300円で販売する。問い合わせは新谷さん090(8825)1450。
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