社説:小椋市長の発言 真に反省なら撤回せよ
京都新聞 / 2023年10月26日 16時0分
学校に行きづらい思いを抱える子どもらを傷つけ続けている。謝罪が本心ならば、発言を撤回すべきである。
学校以外の学びの場であるフリースクールについて、「国家の根幹を崩しかねない」などと発言した東近江市の小椋正清市長への批判が広がっている。
フリースクールの関係団体などから「当事者の実態を理解していない」と抗議が相次ぎ、臨時国会の代表質問でも問題が取り上げられた。
小椋氏はきのうの定例記者会見で、「私の配慮のないワンフレーズで深く傷つけることになった。フリースクールへ行かざるを得ない保護者、運営している皆さんに謝罪したい」と述べ、前日まで否定していた謝罪を口にした。
一方、フリースクールへの支援を巡り「文部科学省にしっかりと制度設計してほしいとの意図だった」と釈明し、発言を撤回しなかった。「ワンフレーズで」「言葉足らず」と部分的発言だったかのような言い訳からは、心からの反省や謝罪は伝わってこない。
小椋氏の発言は、全国の小中学校で約30万人に増えている不登校を巡っての滋賀県の首長会議であり、「文科省がフリースクールの存在を認めたことにがくぜんとしている」と述べた。会議後も「不登校になる大半の責任は親にある」「善良な市民は嫌がる子を無理してでも義務教育を受けさせようとしている」と持論を展開した。
スクール関係者が「崖っぷちにいる当事者を突き落とすよう」と憤ったのも当然だ。いじめや病気、貧困など不登校の要因はさまざまで、無理やり学校に押し込むことは子どもを追い詰め、命も脅かしかねない。長期休み明けに自殺が多い現実を知っているのか。
不登校を巡っては、学校以外の場でも学びの機会が提供されるべきとした教育機会確保法が2017年に施行された。フリースクールでの学びを「甘やかし」「親の安易性」とも語る小椋氏の認識こそ時代錯誤の不見識という他ない。子どもや保護者を苦しめる社会の偏見を助長しかねず、責任は重い。
小椋氏は元県警警察官で、13年の初当選から現在3期目。誰もが安心して学べる環境の整備は、自治体首長の責務であることを忘れては困る。
県首長会議では、他自治体からもフリースクールへの理解を欠く発言があったという。いかに多様な学びを保障し、社会で支えていくか。政治家は現場を見て学んでもらいたい。
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