社説:大麻グミ 包括指定で規制強化を
京都新聞 / 2023年11月23日 16時0分
大麻類似の成分を含むグミを食べた人が体調不良を訴え、救急搬送されるケースが首都圏や大阪など全国で相次いだ。
厚生労働省はグミから検出された合成化合物「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」を指定薬物に指定することを決めた。12月2日から所持や使用、流通が禁止される。
東京では今月、祭りで来場者によって配られたグミを食べた5人が搬送される事例もあった。小さな子どもも口にする可能性があり、こうした食品が簡単に手に入る現状は看過できない。
速やかに流通を食い止めることは当然だろう。一層の注意喚起を求めるとともに、製造方法や流通の実態を把握し、さらなる規制の強化を検討すべきである。
HHCHは、幻覚や意識障害を引き起こす大麻由来の違法成分と構造が似ているが、規制対象ではなかった。
問題は規制強化のたびに製造者が成分の一部を変え、新たな類似化合物が生まれるという「いたちごっこ」が続いていることだ。
近年、電子たばこのリキッドなど、大麻の違法成分に似た製品が次々と発売され、厚労省は昨年3月と今年8月、該当する合成化合物を規制対象としてきた。
今回の事案を受け、厚労省はHHCHに似た別の成分が新たに流通する可能性があるとして、類似の構造をまとめて禁止する「包括指定」も検討するという。
かねての懸案ながら、政府の動きは鈍かった。対応を急いでもらいたい。
若者を中心とした薬物汚染は深刻な状況というほかない。日本大アメリカンフットボール部をはじめ大学生が逮捕される事案が相次いでいる。
今回のグミもインターネットや店舗で、高揚感やリラックス効果が得られるとして販売されていた。なじみの菓子に成分を入れることで若者の抵抗感が薄くなり、気軽に購入しやすくした形だ。
大麻は「ゲートウエードラッグ」と呼ばれ、より強い副作用や依存性の高い薬物の使用につながりかねない。
SNSでは「肌に良い」「少ない量なら依存症にならない」などと大麻について誤った情報があふれている。合法の国もあるが、密売を防ぐなど大麻の流通を管理するためで、安全だからではない。
幼少期から正しい情報を伝え、危険な薬物であるとの認識を十分広めることも欠かせない。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
[社説]高校生が大麻所持 乱用防止策の再点検を
沖縄タイムス+プラス / 2024年7月10日 4時0分
-
15歳の高校生、液体大麻の所持疑いで逮捕 「自分で吸うため」スマホアプリで購入 沖縄・浦添署
沖縄タイムス+プラス / 2024年7月9日 6時24分
-
犯罪誘発するネットの銃情報、規制手探り 改正銃刀法成立 安倍元首相銃撃2年
産経ニュース / 2024年7月8日 22時6分
-
医薬品の販売規制案にドラッグストア反発の事情 市販薬のオーバードーズ問題に有効な規制とは
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 12時0分
-
給食の「ビワ」でアレルギー反応126人 富士吉田市は「口腔アレルギー症候群」の可能性指摘、花粉症との関係は...?
J-CASTニュース / 2024年6月26日 20時23分
ランキング
-
1急増の外国人観光客に人気の公道カート 事故や苦情が増加 安全対策強化求める声も
産経ニュース / 2024年7月20日 20時30分
-
2足立の花火、打ち上げ直前に中止 雷雨の見込みで 東京・荒川
毎日新聞 / 2024年7月20日 20時31分
-
3大型の台風3号(ケーミー)発生 暴風域伴い沖縄に接近するおそれ 進路に注意
ウェザーニュース / 2024年7月20日 16時0分
-
4市販薬の乱用、年間65万人 10代、50代の割合多く
共同通信 / 2024年7月20日 18時32分
-
5都内のコロナ患者数が10週連続で増加、5月の連休明けから増え始め…手足口病の感染も拡大
読売新聞 / 2024年7月20日 14時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)