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社説:ガザ南部侵攻 民間人の殺りく止めよ

京都新聞 / 2023年12月6日 16時0分

 国際人道法に反する戦争犯罪ではないか。

 パレスチナ自治区ガザの戦闘休止は互いの人質解放も含め、対話の意義を示したが、先月末までの7日間で決裂した。イスラエル軍はガザ北部に続き、南部にも地上部隊が侵攻したと表明した。

 ガザを実効支配するイスラム組織ハマスを掃討し、一層の人質解放を目指すというが、民間人の大量殺りくの実態は到底、容認できない。国際社会は手を尽くし、休戦の道をこじ開けねばならない。

 ガザ地区は、京都市でいえば右京と西京両区ほどの面積に、京都市民の1.5倍を超える220万人以上が暮らす密度である。

 イスラエルは、長年境界を封鎖し「天井のない監獄」と呼ばれる同地区の北部に侵攻時、住民に南部へ避難するよう指示した。国連による食料や水、燃料の搬送を制限し、住民を飢餓や病など過酷な状況に追いやったままだ。

 やっとの思いで逃れた人々で、南部はあふれる。国連によれば先月末時点で、95万8千人近くが99の施設で避難生活を送る。

 そこにイスラエルは容赦なく砲弾を浴びせ、今度は住民にさらに南のエジプト国境近くに逃げろと求めている。ハマス司令部が地下にあるとして、北部でも難民キャンプや病院を攻撃し続ける。

 ガザ側の死者は1万5千人を優に超え、約7割が女性や子どもという。2カ月足らずの戦闘で奪われた人命の重さに慄然(りつぜん)とする。

 イスラエル側の死者は約1200人。今回の戦闘のきっかけは10月7日のハマスによるテロであることは自明である。許されない蛮行であり、ハマスは拉致した人質をただちに解放すべきだ。

 しかし、イスラエルの行為はもはや国際社会の支持を完全に失ったといえよう。南部侵攻前に、動画などで戦闘地域を知らせたとするが、避難住民に伝わるはずもなく、見え透いたアリバイ作りとの声が上がる。後ろ盾である米国のオースティン国防長官も「市民の保護は道徳的責務」とし、反発からハマスが民心をつかむ事態になれば、「戦略的敗北」になるとイスラエルに警告している。

 戦争のルールを定めた国際人道法を顧みない無差別殺りくは、世界での孤立を深めるばかりだ。

 国連安全保障理事会が可決した決議に沿って、戦闘を止めることを重ねて求める。米国は仲介役のカタールなどとともに、交渉再開に向けより強い一歩を踏み込んでもらいたい。

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