社説:国際学力調査 主体的に学ぶ姿勢こそ
京都新聞 / 2023年12月7日 16時0分
経済協力開発機構(OECD)の2022年学習到達度調査(PISA)で、日本の高校1年の読解力が3位となり、前回18年調査の15位から大きく上昇した。
読解力問題は、さまざまな資料から情報を読み取り、表現する力が必要となる。日本は不得意だと指摘されてきただけに、克服の取り組みが一定の結果につながったといえよう。
平均得点は読解力で516点(OECD平均476点)となるなど、いずれも平均を上回った。
数学的応用力は5位、科学的応用力は2位で、3分野とも世界トップ水準を維持した。
調査は、OECD加盟の37カ国と非加盟の44カ国・地域の約69万人が参加した。前回3分野で1位の中国は不参加だった。対象となったのは、新型コロナウイルスの感染拡大で、影響を受けた世代である。
好成績の要因には、休校期間が他国より短かったことが挙げられる。平均得点は期間が短い国・地域ほど高い傾向だったという。日本は休校が3カ月以上だった割合が、OECD平均より30ポイント以上も低かった。
対面授業の継続に加え、オンライン活用も含めて学習機会の確保に手を尽くした教員らの努力が大きいだろう。
読解力が8位から14位に急落して「PISAショック」と呼ばれた03年の調査以降、文部科学省は「脱ゆとり教育」へ転換を図ってきた。
話し合いの授業を重視するよう学習指導要領に盛り込み、探求的な学習や対話型授業の拡大に取り組んだことも効果があったと見られている。
ただ、学校現場はカリキュラム増加で負担が増し、教員の多忙と不足から子ども一人一人に丁寧に向き合う時間が減っている。
調査では、再び休校になった場合、自律的に学習できるかを調べたところ、自信があると答えた生徒の割合が、OECD平均を大きく下回った。
主体的に学ぶ姿勢は学習の根幹となる。その低さを受け止め、対策を練るべきではないか。
また、急増する不登校の経験者が多い通信制高校は調査対象外で、全体結果に反映されていないことも忘れてならない。
OECDは、長期的に見ると日本の学力状況に大きな変化がないとも指摘している。浮かび上がった学習環境を巡る課題解決に向けて力を注いでほしい。
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