社説:武器輸出指針 禍根残すなし崩し緩和
京都新聞 / 2023年12月22日 16時5分
武力による紛争解決にくみしないとした日本の平和原則を根底から覆しかねない。将来に禍根を残す大きな転換である。
政府が防衛装備品の輸出ルールを見直し、外国企業に特許料を払い日本でライセンス生産する武器を、ライセンス元の国に輸出できることにする。「防衛装備移転三原則」と運用指針の改定を、きょう閣議決定するという。
現在は、米国のライセンスで生産した武器は部品に限り米国へ輸出が認められるが、今後は完成品も含めて米国以外にも輸出できるようにする。
救難など、非戦闘目的の5分野でも、防御や業務の実施のためなら、殺傷能力のある武器を搭載していても輸出を認める。
日本は「武器輸出三原則」に基づき、長く武器の禁輸政策を続けてきたが、安倍晋三政権が2014年、武器輸出を「防衛装備移転」と言い換えて解禁した。
国民的議論のないまま、武器輸出が際限なく広がるのではないか。強い懸念を禁じ得ない。
政府は武器輸出指針の見直しに合わせ、米企業のライセンス製品である地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を米国に輸出する方針も決めた。
新ルールでは、第三国への輸出には日本の事前同意が必要で「現に戦闘が行われている国」は除かれる。
だが、ウクライナにパトリオットを供与している米国の在庫を補充することになれば、間接的な紛争当事国への武器供与とみなされよう。平和国家として積み重ねてきた国際的な信用を失うことにつながらないか。
輸出後の適正な管理は困難で、第三国への流出防止を確実にできなければ、紛争の助長を招きかねない。
問題なのは、重大な方針転換を与党の協議だけで決め、議事録も公開しないことだ。
輸出するほど武器を生産することは、平和憲法の理念に基づく自衛の範囲を超えるのではないか。国会で議論するのが筋である。
日本は英国やイタリアと次期戦闘機を共同開発し2035年の配備を目指している。
今回は、同戦闘機を想定した国際共同開発品の第三国への輸出について結論を先送りしたが、年明けにも結論を出すことになった。
自民党は前のめりの態度を隠さないが、殺傷兵器そのものであり、なし崩し的な解禁は容認できない。
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