県庁が生成AI導入、仕事どう変わった? 利用「最初の1回だけ」大半、有効活用の鍵は
京都新聞 / 2023年12月9日 7時0分
滋賀県は、12月から庁内で生成AI(人工知能)の本格導入を始めた。試行期間の利用者アンケートでは「今後も利用したい」との声が約6割に上った一方、利用頻度は「最初の1回のみ」が4分の3を占め、業務が「改善・効率化しなかった」との意見も半数を超えた。導入効果を最大限発揮するためには、有効活用のポイントを共有するなど県の工夫が求められる。
「アンケートの質問と選択式回答を五つ作成してください」。職員が入力すると、少しの時間を経てパソコン画面に具体例が表示された。県が導入した「LoGoAIアシスタントbot版」は、対話型AI「チャットGPT」が利用できる自治体向けサービス。対話形式で、企画立案、文書作成、校正などの問いや依頼にAIが応じる仕組みだ。県は詳細な導入費用を明らかにしていないが、月数十万円程度とみられる。
試行は8月1日にスタートし、全職員を対象に2カ月間行った。開始に当たり、条例に定める非公開情報を入力しない▽出力内容に虚偽が含まれる可能性を考慮し、確認を徹底する▽生成物の利用時には第三者の権利への配慮を行う-、といった活用方針も定めた。
試行時の利用者にアンケート調査(277人回答)を実施したところ、用途は「企画立案やアイデア出し」「議会答弁で考慮すべきポイントの洗い出し」などが挙げられ、新しいアイデアや観点を「得ることができた」との回答が43.6%に上った。県は有用性が確認されたとし、出力されたデータをそのまま使用しないことなどを活用方針に盛り込んだ上で12月からの本格導入に踏み切った。
ただ、調査結果からは今後の活用に向けた課題も見える。利用頻度の質問では「最初の1回のみ」が最も多い76.2%で、次いで「1週間に1~2日」が19.9%。業務の効率化についても、回答から県は「1人平均年33時間の削減効果があった」とするが、「改善・効率化しなかった」が52.6%と過半数を占めた。
県は、利用が低調だった理由について「文字数制限の関係で一時的に利用できない期間があったためではないか」とみる。本格導入に当たっては「どこまでの範囲の回答を求めるかを示す」といった具体的なポイントを庁内の共有システムで公開。今後は研修も予定しており、「広く有効活用できるようノウハウを共有していきたい」(DX推進課)という。
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