社説:京滋の将来人口 減少を前提に政策見直しを
京都新聞 / 2023年12月27日 16時0分
人口減と少子高齢化がさらに加速する地域の将来像と、正面から向き合わねばならない。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が2050年までの自治体別の推計人口を公表した。全体では20年比17%減の1億468万人で、東京都を除く46道府県で減少する。東北や四国などの11県は30%を超えるマイナスになるとしている。
京都府は19%減の207万人で、約50万人も減少する。京都市だけで約22万人減る見通しで、右京区をやや上回る規模で縮むことになる。滋賀県は13%減の122万人で、約19万人減る。高齢化率は京滋とも35%を超えるという。
人口減は、税収や経済の縮小につながり、教育や医療、交通といった生活基盤の維持が危ぶまれる。
その厳しさは、小規模自治体ほど増す。全国の市区町村の2割で住民が半数未満に落ち込み、0~14歳人口はほぼ全ての市区町村で減る。京滋では木津川、守山、草津の3市を除いて人口が減少し、笠置、和束、南山城、京丹波の4町村は半減する深刻さだ。
一方、東京都は50年に1439万人と人口集中が進み、総人口に占める割合は13.8%と20年比で3ポイント近く上昇する。新型コロナによる転出超過は一時的な動きで、一極集中の流れは収まりそうにない。
政府は「地方創生」で中央省庁や企業の地方移転を打ち出し、是正を目指してきたものの成果は乏しい。
継承する岸田文雄政権は「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、昨年まとめた5カ年計画では27年度に東京圏への転入超過を解消するとした。もはや実現は困難である。抜本的な検証と見直しが必要だろう。
今春に社人研が示した全国推計では、日本の人口は約30年後の56年に1億人を下回る。70年には8700万人まで約3割減になり、高齢化率は4割に上ると予測している。
人口減対策では、出生率向上を目指す子育て支援や正規雇用を増やす経済政策が重視されてきた。移住者や外国人の受け入れに力を入れる自治体も増えている。
そうした努力は続けつつも、国、地方ともに大局的に人口減を前提とした政策の転換に本腰を入れるべきだろう。
現役世代で主に支える社会保障制度の持続性、介護や建設、運輸などの人手不足といった課題では、これまでの楽観的な見通しを排して、踏み込んだ対策が不可欠である。
小さな市町村で存続が難しい場合、府県も後押しし、広域で補完し合う機能を検討すべきだ。京都市など都市部にとっても大きな影響は避けられない。
遠い先の課題とせず、今のうちから住民参加で議論を深めたい。
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