書けそうで書けないヘタウマ書体「バサころ」考案 変幻自在の字体操る書道家のプロ意識
京都新聞 / 2023年12月29日 7時0分
書道家の住吉菜津美さん(40)は、企業のロゴや商品のパッケージを筆文字でデザインしている。字体は変幻自在で、これまでの作品を見比べても同じ作者とは思えない。「作風がないのが私の作風」と笑う。そこには、「依頼者の気持ちを形にしたい」「店舗や企業、商品の魅力を引き出したい」というプロ意識がある。
実は手がけてきたデザインは、私たちの身近にある。
2018年に湖国の野外音楽イベント「イナズマロックフェス」に関連し、西川貴教さんのプロデュース商品を担当した。京都の有名焼き肉店の店舗ロゴや大津市にある漬物店のパッケージなどもデザインした。書けそうで書けないヘタウマの字をテーマに考案した書体「バサころ」は、テレビ番組のテロップでも使われている。
石川県出身。6歳から書道を始め、高校まで続けた。高校卒業後に書道を究めようと東近江市の専門学校に入学し、湖国との縁ができた。「人の優しさとか滋賀が大好きになった」と話す。
金沢市のデザイン会社に就職し、筆文字のデザインを担った。整った美しい文字には自信があったが、社長の答えは「つまらない」だった。「自分はうまいと思って生きてきたから、ショックを受けた」と振り返る。
滋賀好きが高じて守山市のデザイン会社に転職。筆文字以外の仕事が増えた時、ふと頭をよぎった。「夢中になれるものは何だろう」。答えは筆文字のデザインだった。
2013年に独立し、現在は大津市を拠点に活動している。生活の一部に取り入れるなど、もっと気軽に筆文字に親しんでもらおうと、最近は赤ちゃんやペットの命名書も請け負う。
「お酒が好きなので、滋賀の地酒のパッケージも書いてみたい」と夢を語る。大津市在住。
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