車いすフェンシング「発祥」京都からトレセン設備撤去 消える東京パラリンピックのレガシー
京都新聞 / 2023年12月15日 6時10分
日本の車いすフェンシング「発祥の地」だった京都に常設の練習拠点がなくなり、関西での普及が岐路を迎えている。京都市南区の元山王小学校にあった施設は、2023年2月でスポーツ庁の拠点指定を解除され、設備はすべて取り除かれた。日本パラフェンシング協会(JPFA)によると、関西周辺で競技者が少ないことが理由という。
国内の車いすフェンシング競技は、かつて京都が普及と強化の本拠地だった。
同志社大学フェンシング部OBらが中心となり、日本車いすフェンシング協会(JWFA)が1998年に京都市で生まれた。当初は市障害者スポーツセンター(左京区)で活動していたが、2014年頃から元山王小学校を使うようになり、17年にスポーツ庁から競技別ナショナルトレーニングセンター(NTC)として指定された。車いすを固定する器具が常設され、日本代表の合宿などが行われてきた。京都にゆかりのある東京パラリンピック代表の桜井杏理(桃山高校)や藤田道宣(平安高校-龍谷大学出)もここから巣立った。
ただ、19年に東京に味の素NTCイーストが完成してから、代表活動は関東が中心となった。22年3月にはJPFAが東京で発足して競技の統括団体となり、JWFAから事業移管された。元山王小学校の拠点は、新団体に移った後も22年4月から3年間の指定更新を受けていたが、1年もたたずに解除となった。
解除を申し出たJPFAは「全国でも選手登録しているのは20人前後と少なく、京都の施設を使う選手がいない」としている。備品は東京に移して使用しているという。
車いすフェンサーが剣を交わした場所は現在、空き部屋となっている。校門には強化拠点を示す看板が残っていたが、11月末に京都新聞の問い合わせを受け、テープで覆われた。元山王小学校では、ほかに児童保育関係の団体などが入居しているが、将来的な敷地全体の活用策は決まっていない。
京都市障害保健福祉推進室は「京都で普及の流れがつくられたスポーツだけに、NTCを続けてほしいとお願いしていたが、なくなってしまい残念」としている。JPFAはスポーツ庁などと連携して選手発掘を進めており、「京都には指導者もいて競技の土台がある。選手が出てくれば、再び拠点として整えたい」としている。
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