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京都北部の看護師育成5学校、学生確保に四苦八苦 医療体制崩壊の危機に打開策は

京都新聞 / 2023年12月4日 6時30分

看護実習に取り組む日星高の生徒たち(京都府舞鶴市上安久)

 京都府北部で看護師を育成している五つの学校が学生確保で苦戦している。全校で定員割れが生じ、舞鶴医療センター付属看護学校(京都府舞鶴市行永)は既に閉校を決めた。医療現場に必要不可欠な人材を維持するため、打開策を探る取り組みが始まっている。

 「舞鶴がめちゃめちゃ好き。患者のニーズが分かる看護師になりたい」「クラス全員が国家試験合格を目指して頑張っている」

 舞鶴市上安久の日星高校看護科で11月14日、学生と鴨田秋津市長の懇談会があり、生徒が将来への意気込みを語った。鴨田市長は「看護師不足が顕著になってきている。今のうちから対策を取っていきたい。志高い皆さんに期待している」とエールを送った。

 懇談会は生徒に地域への愛着を育んでもらおうと、同高校が市に呼びかけて実現した。5年課程の同高校看護科は2019年度から入学定員40人を満たさなくなり、看護師が患者対応や感染防止策に追われた新型コロナウイルス禍中の21年からは20人台に落ち込んでいる。

 出野健資校長は「地域医療を支える看護師の養成を目指しているが、コロナ禍もあって生徒が減っている。行政と協力してできることを探りたい」といい、看護科を担当する中野佳代副校長は「卒業生の6割が京都府北部の医療機関に就職しており、学生数減は看護師不足につながってしまう」と危惧する。

 他の4校も学生確保に苦慮する。

 府立看護学校(与謝野町)は2019年度から定員割れが続き、現在の在校生は3学年定員120人に対して77人にとどまる。福知山市民病院付属看護学校(福知山市)は2学年定員60人に対して38人、准看護師を育てる福知山医師会看護高等専修学校(同市)は2学年定員60人に50人という状態だ。

 18年度から定員割れが顕著になっている舞鶴医療センター付属看護学校は2023年4月、27年3月末で閉校すると発表した。

 同校は学生確保が難しくなった理由として、大学志向の高まりを挙げた。京都府によると、府内の看護系大学は20年前の2003年には2校だったが現在は9校に増えた。所在地は京都市内が多く、看護師を志す府北部の若者が流出する懸念がある。

 京都府によると、50歳以上の看護職員の割合(20年末)は丹後地域が50.6%、中丹地域が38.4%と府内平均(33.7%)に比べて高い。後に続く若い人材がこれ以上少なくなれば、近い将来に看護師不足がさらに深刻化する。

 舞鶴医療センター付属看護学校の閉校決定を受け、京都府は2027年度から府立看護学校の1学年定員40人を60人に増やして対応する方針だ。老朽化している校舎や学生寮を定員増加を踏まえて建て替えるなど、学生確保に向けて学習環境を充実させる。

 今夏には、小中学生が看護師の仕事を体験する催しを京都府北部の看護学校や病院で初開催した。府医療課は「人材確保に向けて、若年層に看護をPRしていきたい」とする。

 看護系学校の学生数減少は、京都府北部の医療体制縮小に直結する。入学者確保に向けた一層の学校支援策や看護職の魅力を高める取り組みが急務だ。

 

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