社説:政治刷新本部 形だけにしか見えない
京都新聞 / 2024年1月12日 16時5分
いったい何を「刷新」するつもりなのだろうか。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、党は新設した「政治刷新本部」の初会合を開いた。月内に改革策の中間とりまとめを目指すという。
違反行為を立件された政治資金規正法の見直しなどが論点となるようだが、改革の議論に入る前にやるべきことが抜け落ちている。
億単位の裏金づくりが疑われ、最大派閥の安倍派と二階派の事務所が家宅捜索を受けた。安倍派所属だった議員が規正法違反容疑で逮捕され、派閥幹部も任意聴取されている。深刻な現状について事実関係と反省点を明らかにするのが大前提のはずだ。そうでなくては何を改めるかが見えてこない。
メンバーも解せない。議員38人中、安倍派が最多の10人を占める。パーティー券収入から大半が「還流」を受け、組織ぐるみの違法行為が疑われる当事者に、議論する資格があるのか。外部の識者もメンバー入りするのではなく、意見を聞くだけのようだ。
初会合で本部長の岸田文雄首相(党総裁)は「党自らが変わらなければならない」と述べたが、国民の疑念は金権体質そのものに向けられている。
党内では、政治資金収支報告書にパーティー券購入者の記載が必要となる一回当たり「20万円超」の金額の引き下げや、違反者への厳罰化を見据えた法改正などが検討事項とされている。派閥とパーティーの存続を前提に、表面を繕うだけとしか見えない。
派閥の存廃を巡る議論が不可欠だ。初会合では、最高顧問に就いた菅義偉前首相が「解消」を主張したが、菅氏を含む無派閥のメンバーは少数派で、ガス抜きという見方もある。派閥に配慮した人事を続けてきた岸田首相が、踏み込んだ手を打てるのだろうか。
リクルート事件を受けて1989年に自民がまとめた政治改革大綱は派閥解消を掲げ、選挙制度改革や規正法改正の流れを作った。若手が声を上げて大綱策定に動いた当時と比べて、今の党内に長老や幹部を突き上げる危機感は感じられない。もっと声を上げるべきだ。
連立を組む公明党は連座制を含む罰則強化が必要とし、野党は企業・団体献金や政治資金パーティーの禁止などを主張する。与野党の協議を見据えれば、小手先の見直し案では話になるまい。
問題の核心を掘り下げ、既得権に切り込む改革でなければ、国民の信頼回復などおぼつかない。
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