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映画で注目アップの琵琶湖名物「県民大調査」中 ソウルフードの実態は

京都新聞 / 2023年12月29日 18時15分

県民に幅広く協力を呼びかけている前田さん(左)と橋本さん=草津市下物町・琵琶湖博物館

 ふなずしに代表される滋賀県の「近江のなれずし製造技術」は今年、国の登録無形民俗文化財になった。琵琶湖博物館(滋賀県草津市)の関係者がこれを機に、「近江のナレズシ県民大調査」と題するアンケートを11月から始めた。消費や生産に関する調査は約30年ぶりといい、県民の「ソウルフード」の今が明らかになろうとしている。

 なれずしは主に、魚を塩と米などのでんぷんで漬け込み乳酸発酵させた食品。ふなずしは全国的に知られ神事に用いられることもあるが、県内にはそのほかハスやオイカワ、モロコなどを使ったなれずしもあるという。

 調査は市民参加型の「フィールドレポーター(FR)」を中心に、研究者らと協力して実施。「ふなずしを食べたことがあるか」という問いを皮切りに食べる場面や頻度などを質問する。家で漬ける場合のフナの入手方法や、ふなずし以外のなれずしを食べたことがあるかまで聞く徹底ぶりで、県民となれずしの関係の現状を調べる。

 今回の調査のきっかけをつくったのは、FRスタッフの一人、前田雅子さん(71)=大津市。同館専門学芸員の橋本道範さん(58)のふなずしに関する学術発表を聞いた際、今はどうして食べる人が少ないのかと質問。その時、橋本さんは「分からない」と答えたという。

 “分からない”に込められた意味は何だろう。約30年前には県庁職員有志グループ「環境と食の研究会」が行ったふなずし、なれずしに関する調査がある。この時は回答者の99%がふなずしを知っており、そのうち85.1%が食べたことがあると回答していたが、近年のまとまった調査はないのだという。

 今回の調査の意義に関して橋本さんは「なれずしを文化財として守れているか。そもそも、今の若い人がどの程度受け入れているか。何となく、では政策を組み立てられない。基本資料が必要なんです」と説明する。

 前田さんは調査を下調べした段階で県庁有志の調査を知ったという。橋本さんは滋賀大環境総合研究センターの柏尾珠紀客員研究員に協力を依頼し、前の調査と比較可能な調査票を作った。橋本さんは「30年前に食べていたなれずしが絶滅危惧種になっているのか、今でも食べられているのかが明らかになる。滋賀県にとって重要な調査になる」と強調し、学校や企業など団体での協力も呼びかける。前田さんは「一般人と研究者の目があることで調査がよくなる。ふなずしに関心がない人も参加してほしい」と力を込める。

    ◇

 調査期間は1月31日まで。調査票は琵琶湖博物館のウェブサイトからダウンロードし、郵送やメールで送る。ウェブフォームからも回答できる。問い合わせは同館077(568)4811

 

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