「会社人間」から画家に転身 85歳男性「生涯、美を追い求めたい」
京都新聞 / 2024年1月31日 14時7分
梅の美しい春の北野天満宮(京都市上京区)。貝川代三さん(85)は満開の木々が画面いっぱい広がる構図を捉え、柔らかなタッチで紅白の花に色をつける。昨年出版した新刊「心やすらぐ 京の風景」(日貿出版社)に収録した水彩画の1枚だ。
「単にきれいな絵ではなく、自分の心に響いたものを風景の中に表現したい」
京都や奈良、東京の景色を描き、10冊以上の著書で発表してきた。絵は「何を伝えたいか」が重要で、風景は見たままに描く必要もないという。私淑する葛飾北斎の「赤富士」を例に「実物の富士山と形は違うが、あの絵は実に見事だ。意図する表現のためには、構図の変更も大切」と語る。
京都市生まれで、京都銀行で定年まで働いた。元々は「会社人間だった」と言い、「地元の繁栄」を第一にまい進した日々を懐かしげに話す。
一方で子どもの頃から絵も好きだった。仕事の傍らで描き続け、42歳の時に抽象画で知られる「京都現代美術研究所」に入会。京都府舞鶴市での支店長時代には地域の風景を絵にして、店先に飾ったり、スケッチ集にまとめて発表したりしていた。
腕を磨くうちに、行動展や京展で入選するようになる。「ゴッホや上村松園など、画家は命がけで絵を描いていた。自分も安定を捨て、絵の修業にのめりこみたい」。58歳の時、定年後に再就職した会社を辞める決断をした。絵と日々向き合う中で、国内外で40回近くの個展を開いてきた。
「人生100年」とも言われる現代。セカンドライフについて「自分は絵が支えだった。何かに打ち込んでみることや、一緒に取り組む仲間がいることが大切と思いますね」と助言する。
東日本大震災の際は、自身の絵を見た被災者から「心がほっとする」と言われたことをきっかけに、関西の作家仲間と福島県の避難所に絵を送る活動も行った。被災地のアマチュアの作品などを集めた展覧会を、京都で開くこともあった。
画業に専念し、四半世紀が過ぎだ。「人とのつながりに支えられ、多くの幸運に恵まれた」。80歳を前に水彩画に集中することも決めた。「生涯、美を追い求めたい」。情熱は衰えない。京都府城陽市平川。
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