小学校給食に北海道産ホタテ「柔らかくておいしかった」 国内需要の一助に
京都新聞 / 2024年2月8日 7時0分
京都府亀岡市の小学校の給食で1月末、ホタテを使った献立が提供された。亀岡市学校給食センターによると、二枚貝は食中毒のリスクがあるとして給食に出ることはほとんどなく「ホタテはおそらく初めて」。実現したのは、昨年から続く例の問題が関係していた。
1月29日に9校、翌30日に9校の給食に出た八宝菜には、1粒約15~20グラムの大粒のホタテの貝柱が入っていた。保津小学校(亀岡市保津町)では6年生4人が笑顔で口に運んでいた。6年生の女子児童(12)は「かんだらホロホロしていた」、別の女子児童(12)は「スーパーで買ったホタテは固かったけど、ふわっと柔らかくておいしかった」と満足していた。
ホタテは、北海道森町から贈られた。函館市から約40キロ北にある同町は、年間の水揚げ約15万トン、加工は22万トンを誇り「町の産業は、ホタテで成り立っていると言っても過言ではない」(町商工労働観光課)。輸出も盛んで、得意先の一つが中国だった。
ところが昨年8月、福島県の東京電力福島第1原発で処理水の海洋放出が始まったことに中国が反発し、日本産の水産物輸入を全面的に停止した。町のホタテも行き場を失い、漁師や加工業者は打撃を受けた。
そこで森町は「食べたことがない子どもたちにも、おいしさを知ってもらおう」と、希望する全国の自治体に学校給食の食材として無償で提供する事業を9月から始めた。国の原発処理水風評影響対策事業の補助金を活用し、業者から冷凍貝柱約32トンを買い上げた。配送料も町が負担している。
亀岡市は「森町の冷凍ホタテは衛生管理がしっかりしていて、食中毒のリスクは低い」として、京都府内の自治体で唯一手を挙げた。今年1月下旬に全児童と教職員約5千人の約150キロが届いた。森町の担当者は「ホタテの国内需要を伸ばして、町の知名度アップにもつなげたい」と話している。
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