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能登半島地震で大規模火災「著しく危険な密集市街地」 解消の方向性は

京都新聞 / 2024年1月17日 6時0分

木造住宅が密集する大津市長等地区とその周辺。地震時に火災が発生すれば延焼の恐れがあり、建物の倒壊で避難が困難になることも懸念されている

 最大震度7を観測し、死者が220人を超えるなど甚大な被害をもたらした能登半島地震の被災地では、各地で建物が倒壊、住宅密集地では大規模な火災に見舞われた。同様の被害は1月17日で発生29年となる阪神大震災でも続出したが、滋賀県内にも家屋倒壊などの危険性が特に高いとされる地域が、大津市内にある。

 ひしめき合うように木造建築が立ち並ぶ大津市の長等地区。屋根瓦や壁がはがれたり、傾いていたりする建物が目につく。狭い路地が多く、幅が2メートルに満たない場所もあった。大地震が起こった場合、消防車の進入を阻んで消火活動を困難にし、倒壊した家屋などで道がふさがれて避難できない恐れがある。

 長等地区の一部約8.6ヘクタールは、同市逢坂地区の一部約1.3ヘクタールとともに、地震で建物倒壊や火災延焼の危険性が高いとして、国土交通省の「地震時等に著しく危険な密集市街地」に該当している。滋賀県内ではこの2地区だけだ。

 国は、この「著しく危険な密集市街地」を2030年度までに「おおむね解消」することを目標にしている。だが、大津市の取り組みは消火器や消火栓の設置などにとどまっており、「解消に向けた方向性は導き出せていない」(同市の担当者)のが現状だ。

 老朽住宅の建て替えや取り壊し、道路の拡幅工事を行うためには、巨額の予算と住民の合意形成、住居の移転が伴う場合の生活再建などが必要になる。越えるべきハードルは高い。

 危険なのは両地区だけではない。市都市魅力創造課は「ほかにも木造建築が密集する市街地がある」と指摘する。市消防局は16年に起きた新潟県糸魚川市の大火を受け、長等をはじめ、建物が密集する堅田や坂本、膳所などの一部地域10カ所を火災発生時に危険度が高い地域として設定した。現在、耐震性のある防火水槽の整備を進めている。

 直下型地震における大津市内の最大被害想定は、建物の全壊が2万2361棟、半壊が4万2358棟、全焼は1941棟とされている。

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