子どもに人気「どんぐり先生」 脳梗塞乗り越え、どうしてこんなに手先が器用なの
京都新聞 / 2023年12月26日 11時0分
京都府向日市内の小学生たちから「どんぐり名人」「どんぐり先生」と親しまれている男性が、新型コロナウイルス禍の行動制限が大幅に緩和された今年、活動の幅を広げている。学校を訪れて行うドングリを使ったおもちゃ作りが、子どもたちに大人気だ。病を乗り越え、卒寿になっても精力的で「人を喜ばせることをしたい。高齢でも目標を持てば楽しい毎日を送れる」と語る。
京都府向日市の矢谷洋一さん(90)。2011年から活動していた第3向陽小学校だけでなく、かつて同小学校に勤務していた教員らの異動先の長岡第七小学校や第6向陽小学校でも開催した。これまでもドングリを拾いに訪れていた第6向陽小学校では、1年生を対象に11月に実施。やじろべえを作ったり、コマを回したりして、教室には歓声が響いた。曽我陽祐さん(7)は「すごく楽しかった」と喜び、大蔵陽太さん(7)は「うちでも作ってみたい」と話す。
矢谷さんは元は京指物の職人で、手先は器用だ。仕事の一線を退いてからも社会に貢献したいと、趣味のおもちゃ作りを生かして第3向陽小で、年1回のペースで始めた。
5年前に脳梗塞で倒れたが、週4回のリハビリに取り組んで教えられるまでに回復した。今年は猛暑の影響からか、ちょうどよい大きさのドングリがなかなか見つからなかったという。それでも、趣旨に賛同してくれる市民の協力を得て必要量を確保。児童全員におもちゃが出来上がった時の達成感を得てもらおうと、やじろべえの「支点」となる木材に一つ一つ竹ひごを通すための穴を空けるなど手間暇かけて準備し、教室に臨む。
児童たちは出来上がったやじろべえを指や耳、鼻に乗せてうまくバランスを取ったり、ひもの上を滑らせたりして大喜び。矢谷さんは「(工作教室は)一人ではできず、多くの方々の協力があって実現している。子どもたちが喜んでくれると、私も元気になる。ものをつくる喜びを感じてほしい」と優しい笑顔で見つめた。
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