嫌がらせ訴え、学校が9ヵ月放置で不登校に 第三者委の答申公表も3ヵ月後「配慮したつもり」
京都新聞 / 2024年2月20日 6時0分
滋賀県の甲賀市立中で生徒が他の生徒からの嫌がらせを訴えていたにもかかわらず、学校の対応が9カ月後と遅れたために被害生徒が不登校となり、いじめの重大事態に認定されていたことが19日、同市教育委員会への取材で分かった。調査した第三者委員会は「学校のアセスメント(評価)体制・能力に課題があった」などと記した報告書を市教委に答申した。
弁護士ら4人でつくる第三者委の報告書によると、2022年6月に市立中の1年生が別の生徒から筆箱を取られるなどの被害を学校に申告。以降も継続的に腕をたたかれたり、背中を押されたりするなどの嫌がらせが続き、被害生徒は11月から欠席するようになった。だが、学校がいじめ防止対策委を設置し、市教委に報告したのは、保護者が被害を訴えた23年3月下旬だった。いじめが原因とみられる被害生徒の欠席日数が同年6月に30日を超えたため、重大事態に認定された。
市教委によると、被害生徒は現在も欠席しがちで、学校が登校に向けた支援態勢を取っているという。
第三者委は報告書で、問題が長期化した点について、生徒による最初の被害申告時に「悩みを聞いてもらえず学校不信になった」「いじめの実態をあいまいにしたまま事態が進んでしまっていた」などとして対応の不備を指摘。いじめの背景として、加害生徒との人間関係に加え、学校側の問題を挙げた。
市教委は「遅くとも被害生徒が欠席を始めた22年秋には市教委に報告し、対応を始めるべきだった」としている。
一方、第三者委の答申は23年10月に出されたが、市教委は3カ月以上後の今年1月25日に市ホームページ(HP)で公表した。その際、市HPのトップページの「お知らせ」に記載せず報道発表もしなかった。市教委は「被害・加害双方の生徒に配慮したつもりだが、公表による再発防止という観点から今後は発表の方法は検討する」とした。
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