先祖からの家・農地どうする? 売却経験者が心情吐露、専門家は「早めに」 京都府南丹市
京都新聞 / 2024年2月25日 7時0分
空き家問題を考える講演会が23日、京都府南丹市日吉町の森の学舎五ケ荘で開かれた。同町出身で生家を売却した男性が先祖からの土地を手放す経緯や葛藤を話し、専門家が早期対策の重要性を訴えた。
男性は井尻重祐さん(76)で、15年ほど前に1人暮らしの母親が亡くなり、生家が空き家になった。講演では、井尻さんが家と田んぼを相続し、自宅から出向いて草刈りなど維持管理していたが、体が少し不自由になり、子どもも引き継ぐ意思がないと分かり売却に動いたことを振り返った。
南丹市の空き家バンクに登録し、購入希望者が現れたが、「心の整理が付かなかった」と白紙に戻した。その後、地域住民と関わりを持ち、米作りをするという条件を設け、1年ほど前に売却。「受け継いだ農地、家が朽ち果てることがないようにと、条件をつけて手放した」と決断までの心情を吐露した。
専門家として、京都中央古民家再生協会の畑哲也理事長と住教育推進機構の畑正枝さんが登壇。空き家は所有者の不利益になるだけでなく、周囲の住宅価値低下や自治体の財政悪化にもつながると解説し、「貸すか売るか壊すか、空き家にしないために早めの決断が大事」と呼びかけた。
講演会は、森の学舎を拠点に空き家対策などに取り組む住民組織「住みよいむらづくり協議会」が主催し、約50人が聞き入った。
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