「倒れている住人を放っておけない」猛煙の火災現場で救助劇、近隣の男性3人が連係
京都新聞 / 2024年2月29日 6時0分
滋賀県の湖南広域消防局東消防署は、1月27日に野洲市小篠原の共同住宅で発生した火災で人命救助に当たった男性3人に感謝状を贈った。3人は、炎が広がり煙が立ちこめる中、協力しながら高齢者を避難させたといい、「入居者している方々の命が助かってよかった」と話している。
感謝状を受けたのは、谷本哲さん(44)=守山市、澤井優公(まさあき)さん(41)=近江八幡市、内記裕太さん(31)=守山市。
3人は不動産会社の社員で、午後8時ごろ、会社向かいにある店舗付き共同住宅の2階から煙が上がっていると同僚から知らせを受けた。先に駆けつけた内記さんが119番するとともに、火元の隣部屋の住人を建物の外へ避難させ、谷本さんと澤井さんが建物に備え付けの消火器を使って消火活動を行った。
火元の部屋は電気が消えて暗く煙が充満していたが、玄関先で高齢男性が倒れているのに気づき、2人がかりで抱えて建物の外へ助け出した。さらに谷本さんは、再び2階に上がって別の部屋の住人を避難誘導しようとしたものの、玄関が施錠されて開かず、炎と煙の勢いも増してきたため1階に降り、駆けつけた消防隊に伝えたという。1人が両腕などにやけどを負ったが、逃げ遅れた人はいなかった。
2月27日に同署であった感謝状贈呈式には、谷本さんと澤井さんが出席。八木清和署長は「燃えている室内から人を助け出すことは大変勇気がいることであり、誰もができることではない。勇気ある活動がなければ人命が失われていた可能性があり、改めて感謝したい」と述べた。
3人は賃貸物件の管理や営業を担当しており、消火器の使い方や避難の仕方などの知識があったという。
谷本さんは「熱くて煙がひどく、ガラスのようなものが割れる音がして恐怖を感じたが、無我夢中だった」、澤井さんは「倒れている住人を放っておけず救助したが、1人だったらできなかった」と話していた。
湖南広域消防局管内では昨年、前年比17件増の91件の火災が発生。今年に入ってからも10件起きており、暖房機器や火の取り扱いなどに注意を呼びかけている。その上で同署は「火災時には十分安全を確保した上で、通報や初期消火、避難誘導に協力してほしい」としている。
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