「再び笑顔で海に」輪島の海女を見捨てない 海に生きる人々の心意気、救援物資続々 能登半島地震から2カ月
京都新聞 / 2024年2月20日 5時30分
能登半島地震で被災し避難生活を続ける石川県輪島市の海女を支援しようと、京都府伊根町の海女の呼びかけをきっかけに全国の漁業関係者が協力し、被災地に物資や義援金を届ける動きが広がっている。漁港や漁場が甚大な被害を受け、仕事の再開も見通せない中、「一歩一歩前に進んでもらえるよう支援したい」と活動を続けている。
輪島市には震災前まで約130人の海女がいたが、海底が隆起し今も漁船を出せずにいるという。呼びかけ人の大西幸子さん(44)=同町=は12年の経験がある府内唯一の海女で、各地の仲間とは毎年約400人が集まる「全国海女サミット」で顔を合わせ、漁の状況や悩みを語り合って交流を重ねてきた。
大西さんが元日に親しい輪島市海士町の早瀬千春さん(54)とスマートフォンでビデオ通話をしていた時、震度7の揺れが発生した。スマホから早瀬さんが叫ぶ声が聞こえ、家具が倒れる映像が目に飛び込み、電話が途切れた。
一夜明けて早瀬さんから、自宅が損壊し市内の親族宅に避難しているとの連絡があった。大西さんは「助けられることがあれば動きたい」と、早瀬さんに必要な物資を聞き取った。SNS(交流サイト)で広く提供を求めると、三重県や福岡県などの海女や漁業関係者約40人が防寒着や下着、食料品に「頑張って」とメッセージを添え、何度も送ってくれたという。
当初は金沢市に住む早瀬さんの親族宅に送っていたが、輪島市に物流会社の臨時営業所が開設されると直接届けられるようになった。早瀬さんは海女仲間だけでなく、自宅や車中泊で過ごす人とも物資を分け合ったといい、「断水が続いて洗濯ができなかったので、特に下着や靴下がありがたかった」と感謝する。
大西さんは「海女や漁業関係者の強い絆が生かされている。石川の仲間が再び笑顔で海に入れることを願って寄り添い続けたい」と話し、輪島の海女が所属する磯入り組合に届ける義援金も集め始めた。早瀬さんは「応援がありがたい。慌てず、できることからやっていきたい」と前を向く。
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