世界初の生体同時移植手術に成功 京都大学付属病院が男児に肺と肝臓 両親と祖父から
京都新聞 / 2024年3月4日 17時21分
京都大医学部付属病院は4日、10歳未満の男児に対し、両親から肺の一部、祖父から肝臓の一部の提供を受けて同時移植手術を実施し、成功したと発表した。男児は1日に無事退院し、家族3人も既に社会復帰している。生体での肺と肝臓の同時移植手術は世界初という。
患者の男児は関東在住で、手術は昨年11月15日に実施した。男児は、各臓器に異常が起きる「先天性角化不全症」で、肺と肝臓の状態が悪化し、救命には両方の移植が必要な状況だった。
京大病院は肺と肝臓の移植手術を別の日に行うことも検討したが「体への負担が大きく、合併症の可能性が高まる。術後を乗り切るためには同時移植が一番成功率が高い」と判断。40代の両親がそれぞれ肺の一部、60代の祖父が肝臓の一部を提供することになった。
手術は約30人のスタッフが協力し、18時間11分に及んだ。肝臓と肺の同時移植は、両臓器で免疫抑制治療法などが違うために困難とされていた。特に、患者体内の水分管理の基準は大きく異なるが、今回はどちらの臓器にもダメージのないよう水分の調整を徹底した。男児は約2カ月半で歩けるまでに回復し、元気に自宅に戻ったという。
肺肝同時移植は海外では脳死での実施例があるが、国内では脳死ドナー数が少ないうえ、肺と肝臓の脳死同時移植の適応基準がないために、現状では生体でしかできないという。肺移植を執刀した呼吸器外科の伊達洋至教授らが記者会見し、「複数の臓器に障害のある患者に、新しい治療の可能性を広げた意義は大きい」などと語った。
男児の両親は「もう打つ手がないと絶望的な気持ちで、今回の手術が唯一の希望でした。無事成功し、皆様に感謝いたします。絶望感を抱えている患者さんや親族の一筋の光になればうれしい」とコメントした。
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