「量刑がどうであれ、優里は帰ってこない」ALS嘱託殺人、父親が消えない悲しみ語る
京都新聞 / 2024年3月6日 6時0分
筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う女性から依頼され、薬物を投与して殺害したとして、嘱託殺人などの罪に問われた医師大久保愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判の判決公判が5日午後、京都地裁で開かれた。川上宏裁判長は大久保被告に懲役18年(求刑懲役23年)を言い渡した。
起訴状などによると、知人で元医師山本直樹被告(46)=医師免許取り消し=と共謀して2019年11月30日、ALSを患っていた京都市中京区の林優里(ゆり)さん=当時(51)=の自宅マンションで、林さんから頼まれ、胃にチューブで栄養を送る「胃ろう」から薬物を投与し、急性薬物中毒で死亡させた。大久保被告は事件で主導的な立場だったとされる。
判決後、林優里さんの父親(83)は報道各社の取材に応じ、「量刑がどうであれ、優里は帰ってこない」と消えない悲しみを語った。ほぼ全ての公判を傍聴したがやりとりは聞こえづらかったといい、検察官が代読した自身の意見も「もっと丁寧に読み上げてほしかった」とも話した。事件を通しALSが世に知られたことで「優里のような人の苦しみが埋もれない社会になってほしい」と願った。
ALSなどの難病患者5人は判決後、京都市内で会見を開いた。脊髄性筋萎縮症の男性(29)=向日市=は「自己決定権は生命があってこそと言及され、うれしかった」と前向きに受け止めた。生まれつきの脊髄損傷と脳性まひがある男性(27)=上京区=も「刑が軽くなることを恐れていたので、判決にほっとした」。
ただ、判決が「嘱託殺人でも刑罰に問えない事案」として幾つかの条件を示したことに、当事者らは疑問も呈した。男性は「『手を尽くしたから死ぬしかない』ではなく、生きる道の提示が必要だ」と強調した。ALS患者の男性(66)=東京都=は文字盤を使い、「全ての人が当事者となる問題だということが、社会にまだ伝わっていない」と厳しく指摘した。
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