社説:米大統領選 トランプ党、広がるのか
京都新聞 / 2024年3月8日 16時0分
米大統領選に向けた野党共和党の候補者選びは、トランプ前大統領の指名が確実になった。11月の本選は、民主党のバイデン大統領と再び対決する構図が事実上、固まった。
トランプ氏は15州の予備選などが集中する「スーパーチューズデー」で圧勝し、争ってきたヘイリー元国連大使は撤退を表明した。多くの州でトランプ氏が大差をつけ、強さが際立っている。
ほぼ事前の世論調査結果の通りだが、トランプ氏は他候補と政策をたたかわせる討論会を回避し続けた。自らを支える保守強硬派をあおり、「米国第一」を掲げて内向きの姿勢を強める流れは、憂慮せざるを得ない。
ただ、同盟国との連携などを訴えたヘイリー氏が、女性では共和党予備選で初めて首都ワシントンとバーモント州で勝ち、敗れた複数の州で3割超の支持を得た。「反トランプ」は党内にも根強い。
トランプ氏は、前回の大統領選で敗北を認めず、呼びかけに応じた支持者が起こした議会襲撃事件など四つの事件で訴訟が続く。出馬資格を問う訴訟もあったが、連邦最高裁が資格を認め、障壁はなくなった。批判を逆手にとって支持固めに利用している。
影響力は現実の政治に及んでいる。ロシアによる侵略が2年を超えたウクライナへの支援では、トランプ氏の意をくみ、共和党が下院の予算案採決に反対して承認の見通しが立っていない。
選挙の優勢に乗じて意に沿わない党幹部を退任に追い込み、親族とすげ替えて支配を強めている。「トランプ党」化を進めて巨額の訴訟費用を党予算で賄う狙いともみられ、専横ぶりが目に余る。
ただ、大統領に返り咲くには、党内の伝統的な穏健派を含めた挙党体制が必要となる。若者をはじめ無党派層の支持は低迷しており、今後の言動が注目されよう。
対するバイデン氏は、不法移民問題や物価高など直面する課題への対応に決め手を欠く。パレスチナ自治区ガザに侵攻するイスラエルへの支援に対しても国内外で批判が広がる。次の任期も務めれば86歳になる年齢への懸念も払しょくできていない。難局を打開する民主党の政策と戦略が問われる。
民主主義国の盟主を自任してきた米国政治の分断は根深い。その責任を果たし、国際秩序の安定を図る道筋こそ、最大の争点であるべきだ。現職と前職の大統領の一騎打ちが非難の応酬に終わらぬよう、大局的な論争を求めたい。
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