社説:自民の党則改定案 「改革」と呼ぶには値しない
京都新聞 / 2024年3月9日 16時0分
こんなおざなりな内容では「改革」の名に値しない。国民をみくびっているのだろうか。
自民党は、派閥の裏金事件を受けた2024年の運動方針案で「党改革に向け解体的出直しを図る」とし、岸田文雄首相(自民総裁)が設けた政治刷新本部で党則などの改定案を大筋了承した。17日の党大会で正式に決める。
改定案では、派閥の存続を禁止するとしながら、「政策集団」を認める。政策集団のパーティーは禁じるものの、党や個人なら開くことができる。政治資金規正法違反で会計責任者が逮捕・起訴された場合、議員に離党勧告できるよう明文化するが、現在でも執行部の判断次第で可能な内容だ。どれも実効性が疑わしい。
折しも、刷新本部長代理を兼ねる茂木敏充党幹事長や、党京都府連会長の西田昌司参院議員らが、政治資金の使い道の公開基準が厳しい政治団体(政党支部や資金管理団体など)から、緩い政治団体(後援会)に多額の資金を移していたことが相次ぎ発覚している。
こっそり使えるカネを作るための不明朗な会計操作としか見えず、裏金問題と通底する政治特権的な脱法行為ではないか。
形ばかりの党則改正で、やり過ごすことなど到底許されない金権体質の根深さである。
裏金事件に関連する自民のうみを徹底的に洗い出し、法制度の「抜け穴」をふさぐ抜本改正につなげなければならない。
自民は過去にも問題が起きる度に「派閥解消」を掲げては復活させてきた。今回も岸田氏が1月に自らの派閥の解散を打ち出したが、麻生太郎副総裁と茂木幹事長が率いる派閥は同調せず、活動し続けている。
改定案により「資金と人事に関与する派閥は消える」というが、国民の目線をそらす一時しのぎではないか。党内からも「政策集団という看板に替えるだけでは」と不満が聞かれる。
改定案の修正対応は岸田氏に一任された。このまま見直さないなら、党の自浄能力の欠如をさらけ出すに等しい。
浮かび上がった後援会への資金移動問題も看過できない。
規正法は政治資金の受け皿となる「国会議員関係政治団体」について、人件費を除く1万円超の支出を報告書に記すことや外部監査を義務付ける。
ところが議員後援会などは「その他の政治団体」とされ、5万円以上の政治活動費のみの公開で済む。
茂木氏や西田氏らは、関係政治団体から後援会に寄付する形で政治資金を移動。茂木氏は直近14年で4億円超、西田氏は同3年で約1800万円の支出が不透明になっている。
非課税などの優遇を受ける政治資金を、「財布」の使い分けで国民の目から伏せられる欠陥は早急に改めるべきだ。
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