社説:参院の政倫審 幕引きなどありえない
京都新聞 / 2024年3月15日 16時5分
「良識の府」でも木で鼻をくくったような「知らぬ存ぜぬ」が繰り返された。政治への不信は深まるばかりである。
自民党派閥の裏金事件を巡り、参院で政治倫理審査会が開かれた。出席したのは、いずれも安倍派の世耕弘成前参院幹事長、橋本聖子元五輪相、西田昌司党京都府連会長の3人だけだった。
先の衆院政倫審に続き、政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分を議員側に還流してきた仕組みの究明が問われた。だが、3人とも「関与していない」「知らなかった」などの弁明に終始した。
還流を受けた資金は政治活動に充当したとしながら詳しい使途は語らず、自らの正当性を主張する発言が目立った。到底、説明責任を果たしたとはいえない。
衆院では安倍派幹部の発言に食い違いがあり、「5人組」の1人で、参院側トップだった世耕氏の説明が焦点だった。
還流中止を指示した安倍晋三元首相の死去後、再開が決まった経過を巡り、世耕氏は自らが協議に参加したにもかかわらず、「了承したことは一切ない」と述べた。派閥座長だった塩谷立氏が「しょうがないかなと話し合われた」とする説明と整合性がとれない。
改選対象の参院議員に全額還流していた独自ルールに関しては、「誰が決めたかも分からない」と釈明した。幹部として真相を明らかにしようともせず、責任逃れが目に余る。
西田氏は、自身が使途の公開基準が厳しい資金管理団体などから、緩い政治団体に多額の資金を移した問題についても聞かれ、「誤解だ」などと強弁した。自らが関わる四つの団体の収支全体からみれば1割程度と主張したが、問題点のすり替えでしかない。
参院の政倫審は32人を審査対象にすると議決している。しかし、岸田文雄首相は議員の出席について相変わらず「促している」と述べるだけで、党総裁としての指導力を全く発揮していない。
衆院では、安倍派会長代理だった下村博文氏が政倫審に出席する。還流の始まりや再開の経過を明らかにするには、さらに元派閥会長の森喜朗元首相らの参考人招致や証人喚問の必要性が高まったといえよう。
自民は17日に党大会を開く。衆参両院の政倫審開催と党則改正をアピールし、裏金事件に区切りをつけようとの思惑が透ける。全容の解明すら中途半端なままで、幕引きなど認められるはずがない。
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