社説:プーチン氏5選 「圧勝」で弱みあらわに
京都新聞 / 2024年3月22日 16時0分
国民の信頼を勝ち得たかのように演出された「圧勝」である。到底そのまま受け取ることなどできない。
ロシア大統領選で現職のウラジミール・プーチン氏が通算5選を果たしたと、同国中央選管が発表した。
得票数は前回の5642万票を上回る史上最高の7627万票超という。任期6年で、最高権力者としてのプーチン氏の統治は、ソ連のスターリンを上回る30年となる。
ウクライナ侵攻に反対を公言する元国会議員やジャーナリストは排除され、他の立候補は侵攻を支持して欧米の経済制裁対象になっている下院議員3人だけだった。プーチン氏は事前の討論会にも出席しなかった。
行政機関や国営企業を通じた動員が行われたとの指摘が国内外から上がり、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東部と南部では、武装兵が戸別訪問して投票を強制したとの批判が強い。
選挙監視団も受け入れなかった。なりふり構わぬやり方からは、自身の「圧勝」を内外に見せつけ、権力基盤の強化につなげる狙いとともに、裏腹に抱える「弱み」も透けて見える。
大統領は当初任期4年、連続2期までの制限があったが、憲法改正によってプーチン氏は36年まで職にとどまることができる。
国際刑事裁判所(ICC)からはウクライナでの戦争犯罪容疑で逮捕状が出ている。核兵器の使用も否定しない。こうした人物が独裁体制を強化するのは世界の脅威である。
国際社会の批判と圧力による包囲網の強化がますます問われる。「抜け道」が指摘される経済制裁を徹底する必要がある。
ロシア国内では、出生率の低下や貧困、人材の海外流出などが深刻化する。
一部の在外投票ではプーチン氏が負けたとも伝えられる。
長期的な国力の低下と閉塞感の強まりは否定し難い。批判を受け付けない政権はいずれ行き詰まる、と知るべきだ。
プーチン体制を支える言論統制とプロパガンダ(政治宣伝)には、ウクライナ侵攻を批判する一方で、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの侵攻を止められない米欧の二重基準が口実を与えている側面もある。
ロシア包囲網への「グローバルサウス」(新興・途上国)の関与を促すためには、こうした矛盾の克服も欠かせない。
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