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65歳「普通の主婦」が開発した工具スタンド 夫の死後「自分の好きなことを」と前向いた

京都新聞 / 2024年5月21日 14時13分

雑貨作りで感じた不便さを解消しようと、折りたためるグルーガンスタンドを考案した野村さん(京都府城陽市)

 フラワーアレンジメントや雑貨作りの趣味をきっかけに、接着用工具「グルーガン」を立てかけるスタンドを、京都府城陽市の野村玲子さん(65)が考案した。「一主婦の発明がこんなふうに形になるなんてびっくり」と謙虚に笑うが、試作を重ね、使い勝手にこだわった商品だ。製作が趣味の仲間たちからも好評だという。

 グルーガンは、本体に樹脂の棒を差し込み、熱で溶かしながら接着する工具。花を生かした雑貨作りでよく使っている。だが重さで倒れたり、樹脂の接着剤が机に垂れたりして作業に集中できず、不便を感じるように。市販のグルーガンスタンドはすぐに壊れてしまい、品質に納得いかなかった。「ならば、もっと丈夫で使いやすいものを自分で作ってみよう」。早速図面を描き、段ボール箱を切り貼りして試作に取りかかった。

 商品開発の経験はなく、個人のアイデアを基に商品化をサポートする「発明学会」(東京都)に相談。担当者の助言を受けながら、ボール紙より軽量で、クリアファイルなどに使われるポリプロピレン製のシートを使うことにした。

 厚さ数ミリ違いのシートを何度も作り比べて完成したのが、折りたためるグルーガンスタンド「Tattete(タッテテ)」だ。昨年5月に実用新案特許を取得し、インターネットショップなどでの販売にこぎ着けた。

 「思い立ったら何でも行動に移す方です」。その言葉の背景には、亡き夫を長きにわたって在宅介護してきた経験がある。結婚3年目の時、夫は脳出血で倒れて車いす生活になり、意思疎通も困難になった。生活はほぼ全介助が必要で、娘と交代で介護し、長時間家を空けることはなかった。夫は4年前に亡くなったが、「これからは自分の好きなことをやってみよう」と前を向いた。

 グルーガンスタンドは縁あって、首都圏の中小企業が技術や製品を展示する大規模イベントに出品。地元城陽でドライフラワーの雑貨を手がける女性も、便利だと太鼓判を押してくれた。「もちろん商品が売れたらうれしい。でも一番の夢は、気軽に手作り作品を並べたり、仲間とワークショップを楽しんだりする場所をつくることなんです」とほほ笑んだ。

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