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社説:規正法審議入り 野党結束し穴をふさげ

京都新聞 / 2024年5月23日 16時5分

 裏金がはびこる政治を断ち切れるのか。厳しく国民が見つめていることを忘れてはならない。

 自民党派閥の裏金事件を受け、与野党が提出した三つの政治資金規正法改正案が、衆院で審議入りした。

 事件捜査の本格化から半年にもなる。国会での真相解明はおざなりなまま会期末まで1カ月に迫り、駆け込みで「改革」の形だけ取り繕うというのでは許されまい。

 安易に妥協点を擦り合わせるのでなく、腐敗を招いてきた規正法の抜け穴を徹底してふさがなければ、政治の自浄力を示せない。

 再発防止に向けて最も責任があるのに、単独提出した自民案からは反省がほとんどうかがえない。

 裏金の舞台となった政治資金パーティーの見直しでは、券購入者名の公開を現行「20万円超」から「10万円超」に下げる。使い道が全く不明の政策活動費は、政党から渡された政治家が項目別に報告した使途を党が公表するとした。

 いずれもカネの出入りの「ブラックボックス」を温存しており、連立を組む公明党に合意を拒まれた。既得権にしがみつく姿勢を改め、抜本改革に向けた与野党協議に向き合うべきだ。

 立憲民主、国民民主両党の共同案は「連座制」導入や政活費の禁止に加え、使途公開の緩い団体への資金移動問題で1万円超の公開に厳格化する。日本維新の会の案も、政活費の用途限定や10年後の領収書公開で歯止めを設ける。

 資金パーティーでも、立民は開催を禁止する別法案を提出し、維新案は企業・団体の券購入を禁じた上、購入者名公開も「5万円超」に引き下げるとした。

 国会で岸田文雄首相は「パーティー券は対価と位置付けられ、寄付と性格が異なる」と禁止要求を拒んだが、会場費や飲食費を引いた自民派閥の利益率は8~9割だ。「隠れ献金」である実態は明白で、言い逃れにしか聞こえない。

 さらに踏み込むべきは企業・団体献金の全面禁止だ。リクルート事件後の政治改革で、廃止の代わりに政党交付金を導入して約30年も「二重取り」が続けられている。

 岸田氏は「一部の政治献金で政策立案は左右されない」と言い張るが、癒着にまみれた汚職事件の数々を忘れたのだろうか。

 立民、維新のほか共産党なども全面禁止を掲げる。金権不祥事との決別を求める国民世論を背に、野党がバラバラでなく結束して自民「1強」に迫り、実効性のある改革にせねばならない。

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