「取り調べで机叩いたりしていないか」 再審無罪の西山美香さんが、取り調べの警官に質問 滋賀・湖東病院国賠訴訟

横断幕を掲げ弁護士らと大津地裁に向かう西山さん（前列中央）＝23日午前9時34分、大津市

　滋賀県東近江市の湖東記念病院の患者死亡を巡り、再審無罪が確定した元看護助手西山美香さん（44）＝彦根市＝が国と滋賀県に損害賠償を求めた訴訟の第11回口頭弁論が23日、大津地裁で開かれた。西山さんを取り調べた県警の男性警察官が証人として出廷し、西山さんが自ら質問にも立った。直接対面した警察官に声を荒げ、裁判長に制止される場面もあった。

　再審無罪判決は、この警察官が、自身に対する西山さんの恋愛感情や、軽度知的障害があり迎合的な供述をする特性を利用して、県警が描く筋書きに西山さんを誘導し、明白なうそを含む自白をさせた疑いが強いと判断。捜査段階の自白の信用性と任意性を否定し、捜査の不当性を認めた。

　西山さん側は、この警察官が当初の取り調べでは威圧的な言動をしたと主張している。西山さんはこの日の法廷で「取り調べで机を叩いたり本当にしていないですか」と警察官に問いただし、警察官は「してない」と否定した。「本当に？」と西山さんが質問を重ねても、「はい」と再び否定したため、西山さんは法廷の机を叩いて、「本当にバンバンと叩かなかったですか」と訴えた。

　続いて、西山さん側の弁護団の井戸謙一団長が「今でも西山さんが殺害したと考えているのか」と質問。警察官は「再審無罪の判決が出ているうえ、組織の一員として取り調べたので答える立場にない」と述べた。「個人的にどう考えているか」と質問を重ねる井戸団長を、県側代理人が「質問ではなく意見にあたる」と遮ろうとすると、西山さんが「答えてください。犯人と言ったらいいじゃないですか」と感情を露わにし、裁判長に「落ち着いてください」と制止された。