消滅可能性の自治体「名指しは心外」 若年女性の減少率で分類され戸惑い
京都新聞 / 2024年4月24日 21時15分
民間組織「人口戦略会議」が4月24日発表した報告書で、滋賀県内では高島市と甲良町が、将来的に消滅の可能性がある自治体に分類された。一方、新たに示された100年後も若年女性が多く残る「自立持続可能性自治体」には守山、栗東両市が分類され、明暗が分かれる結果となった。
「数値を公表することに何の意味があるのか。いささか心外だ」。高島市の福井正明市長は同日の定例会見で、戸惑いをのぞかせた。同市は10年前に「日本創成会議」が消滅可能性都市として名指しした896自治体には入っていなかったが、今回は将来的な若年女性の減少率を基に分類された。
同市の人口は4万4294人(3月時点、県調べ)と10年前から約6400人減少。高齢化率(1月時点、同)は県内市町トップの37.6%で、市によると人口減の主因は自然減という。同市は保育料無償化など子育て支援策や、鉄道会社と連携した移住体験事業を展開し、2022年には転入が転出をわずかに上回った。福井市長は会見で「名前が取り上げられたことで対策を講じるというより、これまでの政策を高度化していく」と語った。
2回連続で消滅可能性に名指しされた甲良町は、22年に町全域が過疎地域に指定された。町企画監理課は「10年前に選ばれたこともあり、危機感を持って人口減少の抑制に取り組んできた」とするが、人口は10年間で1千人以上減った。
担当者によると、町内には子育て世帯向けのマンションや一戸建て住宅用地が少なく、マイホーム購入を機に転出する住民も少なくないという。町は転出を抑制し、転入を呼び込むため、本年度から町内唯一の鉄道駅・近江鉄道尼子駅周辺での住宅地造成に乗り出す。
自立持続可能性自治体に分類された2市も“順風”とはいかない事情がある。10年間で人口が6千人近く増加した守山市は昨年度、人口が減少に転じたという。森中高史市長は4月24日の記者会見で「分類はどうでもいい」としつつ、「人口のゆるやかな増加が続いていくことがベスト。推移を注視したい」と述べた。
厚生労働省が発表した18~22年の合計特殊出生率が1.92と全国上位だった栗東市も、10年間で人口が約3千人増加したが、子どもが幼いうちに近隣市に転出するなど「社会減」が課題という。市は、子育て支援策を近隣自治体並みに拡充するなど「流出防止」を図るが、担当者は「もう一歩踏み込んだ対策が必要。策定中の次の総合戦略に盛り込みたい」とする。
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