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社説:男性の育休促進 職場環境と意識を変えよう

京都新聞 / 2024年6月2日 16時0分

 柔軟な働き方を後押しする仕組みづくりは一定前進した。男性の育休取得は、機運を高める段階から実行と定着へ踏み出すべき時を迎えている。

 育児と仕事の両立支援を強化する改正育児・介護休業法が成立した。

 今回の改正では、2歳までに比べて手薄だった3歳~小学校入学前の子どもを持つ人のサポートを拡充した。残業の免除の申請や看護休暇の取得ができる期間を広げて、切れ目のない子育て支援の環境を整えることが眼目だ。

 在宅でのテレワークや短時間勤務、時差出勤など複数の選択肢から働き方を選べる制度の導入も全企業に義務づけている。

 看護休暇では、子の病気のほか、感染症流行による学級閉鎖や卒園式・入学式などの行事参加でも利用できるとした。子どもの成長過程の節目に寄り添いやすいようにすることを目指す改正といえよう。

 女性に偏りがちな育児負担の是正へ、政府は男性の育休を推進する法改正を重ねてきた。2022年には妻の出産後、男性も最大4週間取得できる「産後パパ育休」を導入した。

 だが、男性の育休取得率は22年度の全国平均で17.13%と、前年度比3.16ポイント増となったものの、女性の80.2%に比べて著しく低い。22年度の目標値18.0%にも達していない。

 岸田文雄首相は、少子化対策の一環で、男性の育休取得率を25年までに50%にする目標を掲げる。改正法は、企業の責任をさらに明確にしようと、現在は千人超の従業員がいる企業に義務づけている取得率の公表を、300人超の企業に拡大する。

 ただ、留意すべきは、取得率の向上に内実が伴っていないケースが少なくないことだ。

 厚労省の調査では、20年度に育休を取得した男性の約3分の1が5日未満だった。育児や家事を担わず、かえって女性の負担となる「取るだけ育休」も指摘される。共同で担う育児の「質」を高める必要がある。

 各種調査では、男性が育休を利用しない理由として、「取得しづらい会社の雰囲気や上司の理解がなかった」「仕事を引き継げる人がおらず、職場に迷惑がかかる」などが目立つ。周囲に負担がかかることへの不安を取り除く具体策が求められる。

 日本の育休制度自体の充実度は、欧米諸国にも引けを取らないとも言われる。本人や職場に任せきりでなく、企業が主導して、期間や分割方法など柔軟に育休を取れる指針を作ったり、職場の人員補充や復職研修といったサポートの拡充が欠かせない。

 仕事と育児の両立を望む若い世代は増えている。育休期間の体験は、復職後に家事や育児を男女で分担する上でも役立ち、後に続く人への環境整備にもつながろう。人材確保や離職防止に向き合う企業にとってもメリットは小さくないはずだ。

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