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「多死社会」ここにも 全国自治体に「おくやみ窓口」 税金や保険、死後手続き一括化で負担減

京都新聞 / 2024年4月28日 6時15分

城陽市の「おくやみ窓口コンシェルジュ」のイメージ。パーティションで仕切られた個室で、市民課職員が一連の手続きを案内してくれる(同市役所)

 親族が亡くなると、残された人は税金や保険など多岐にわたる行政手続きをする必要がある。そんな遺族の負担を減らすため、死亡に伴う手続きを一元化した窓口の設置が全国の自治体で広まっている。京都府南部でも近年、導入や検討が進んでいる。

 国民健康保険、市税の口座振替変更、火葬料補助の申請、上下水道の名義変更…。市役所での手続きを案内する城陽市の「おくやみハンドブック」を開くと、八つの課などにまたがる26項目の作業が記載されていた。このうちどれが必要になるかは人により異なる。市民課によると、長い場合は1日がかりとなる人もいたという。

 城陽市では、こうした問題の解消につなげようと、2022年12月に「おくやみ窓口コンシェルジュ」のサービスを始めた。予約すれば職員があらかじめ書類を準備し、一つの窓口で大半の手続きができる仕組みだ。各課職員が代わる代わる訪れ、遺族が複数にまたがる課を行き来する手間を減らす。手続きの時間短縮につながる。

 京田辺市では22年10月に「おくやみコーナー」として、同様の取り組みを始めた。死亡後の手続きに伴う基本的な五つの分野について、窓口を集約している。八幡市では市民課で今年6月ごろから始める予定。宇治市、木津川市は検討を進めている段階という。

 おくやみに関する窓口を一元化する動きは近年、全国で進んでいる。国が設置を呼びかけるガイドラインを作り、20年度までに169自治体が「おくやみコーナー」を開設。城陽市、京田辺市では、実施1年間の利用率は2割ほどだが、遺族からは「同じ説明を何度もしなくてよくなった」「不安な中で親身に寄り添ってくれた」と好評という。

 一方で、庁舎や組織の規模がコンパクトな町村では、以前よりおくやみの手続きを基本的に一元化してきたという。

 精華町と南山城村では、転出入などを含めた手続きをワンストップで行える「総合窓口」で対応してきた。久御山町と井手町は死亡届を受け取る窓口に各課の担当者が訪れ、その後の手続きを進めていく。

 笠置町では死亡届を受け取った後、税住民課と保健福祉課が所管する必要書類を渡し、後日まとめて受け付けている。和束町では総合窓口の導入を検討中。宇治田原町は予定がないという。

 また、多くの書類について、同じ内容を何度も記入することも手間だ。木津川市は「書かない窓口」を導入しており、一部の申請書については、あらかじめ住所や名前が印字されたものを受け取ることができる。

 実際に人が亡くなれば、市町村以外の行政機関や銀行などでも手続きが必要となる。デジタル庁は死亡・相続手続きのオンライン化を推進しており、本年度は死亡届提出について課題を整理する。「多死社会」を迎える中、住民の利便性を高める取り組みが一層求められる。

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