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ラリー100回でご褒美 日本卓球のホープ・松島輝空の父親が語る妥協なき指導「怖いし、嫌だったと思う」

京都新聞 / 2024年4月13日 17時30分

全日本卓球選手権バンビの部で初優勝した松島輝空さん(2014年7月、京都市伏見区・田阪卓研)

 小学校時代に卓球の年代別全国大会で6年連続優勝を果たし、国際大会でも優勝歴がある松島輝空(まつしま・そら)さん=京都市伏見区出身、16歳=は「日本卓球界のホープ」だ。その活躍を支える父の卓司さん(43)が、わが子へ注ぐまなざしとはー。

 <松島卓司さんと妻の由美さんは、ともに田阪卓球会館(京都市伏見区)でコーチを務める。現役時代はペアを組んで全日本選手権の混合ダブルスで3位になった。由美さんの家系は、日本代表らを輩出した名門の田阪家。長男の輝空(そら)は3歳から本格的に卓球を始めた>

 世界で戦う選手になり、僕たちが見られなかった景色を見てほしいという思いがありました。僕の指導は相当厳しいです。輝空にとっては怖いし、嫌やったと思う。親子でにこにこして遊ぶのにも憧れますが、妥協したくなかった。代わりに妻や祖父母が優しくしてあげてました。

 基本の技術を磨くためには地味な練習が必要ですが、幼い頃は集中力が続かない。だから、よくご褒美を付けてました。ラリーが100回続いたら、おもちゃを買ってあげるとか。物でつるというのがいいかは分かりませんが、目の前に目的を示すようにしていました。

 <小学1年から年代別の全国大会で優勝を重ねた。中学からは、有望選手を寄宿制で育成する日本オリンピック委員会(JOC)のエリートアカデミーに入り、東京へ>

 みるみる成長して、どこまでいくんやろ、と感じていました。年上の相手と戦うのが好きで、いつも僕たちが望む以上の結果を出す。体格差のある選手にも勝てるのは、対応能力が高いからでしょう。

 エリートアカデミーは海外の試合に出してもらえるので一番いい選択と思った。でも入ってすぐ、新型コロナウイルス禍になったんです。海外に行けず、練習も満足にできず、缶詰状態。あの頃はどん底で、輝空は気持ちが折れかけていました。

 腹をくくって、アカデミーの監督に謝りにいき、中学3年からは木下アカデミーに移籍させてもらいました。強い選手と一緒に練習し、楽しさを取り戻すことができました。
 

 <昨年は国際大会やTリーグで結果を出し、飛躍のシーズンとなった。ただ、2月に発表されたパリ五輪代表メンバーからは漏れた>

 8月のリマとリオデジャネイロの大会でトップ選手に勝利し、経験と自信をつかんだのが大きかった。身長もここ1、2年で10センチ以上伸びました。パワーがつき、気持ちと体がうまくかみ合うようになりました。

 半年前までパリ五輪なんて考えてもなかったけど、世界ランクが一気に上がって、チャンスがあるんかなと。だから(落選は)相当ショックでした。本人が一番ショックだったでしょう。ただ、輝空が本気で五輪を目指すようになって、自主トレーニングなどの意識が変わりました。

 <その後、世界選手権団体戦に出場し、中国相手に堂々と戦って評価を高めた。Tリーグでも木下マイスター東京の優勝に貢献し、プレーオフの最優秀選手に選出された>

 世界選手権は体調不良の選手に代わって、出場のチャンスをつかみました。今までにないくらい勝つぞという気合が入って、声がよく出ていました。Tリーグでも、これまであまり試合に出られませんでしたが、今は自信を持って戦っています。

 <輝空の兄弟姉妹である翔空(とあ)、美空(みく)、愛空(あいら)も卓球選手。10歳の美空はTリーグの京都カグヤライズに所属している>

 まだ早いと言う人もいるかもしれないが、美空にとって、トップ選手と一緒に練習する環境は大きなプラスになる。輝空と美空はよく似ていて、超負けず嫌い。翔空と愛空はおっとりしてマイペース。みんな日本代表になってくれたら一番うれしいですね。

     ◇

 まつしま・そら 京都市伏見区出身。竹田小時代に年代別の全日本選手権で6年連続優勝。2020年の全日本選手権ジュニアの部では史上最年少の12歳で決勝に進出。同年にTリーグの東京に加入。21年に世界ユース選手権のU15(15歳以下)の部で優勝した。世界ランクは最高32位。172センチ、左利き。16歳。

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