社説:全中大会の縮小 少子化踏まえた改革を
京都新聞 / 2024年6月13日 16時0分
日本中学校体育連盟(日本中体連)は、主催する全国中学校体育大会(全中)で2027年度以降、水泳や体操など9競技をやめ、規模を縮小すると発表した。
中体連の区分に沿えば実施19競技のうち、ほぼ半減するという大幅な改革である。
外れるのは、他にハンドボール、新体操、ソフトボール男子、相撲、スケート、アイスホッケー。スキーは開催地との契約があり、30年度以降、実施しないとした。
生徒減少による部活動の統廃合や教員の働き方改革なども踏まえ、全国大会の在り方を見直す流れは、妥当と言えよう。
中体連は21年度から全中の改革を検討。生徒や教員らへのアンケートを踏まえ、「部活動設置率が6~8割程度ある競技において大会を行うことが好ましい」との結論に至った。対象外となったのは設置率2割未満の競技で、民間スポーツクラブでの活動が多い水泳や体操も含めた。
背景には急速な少子化がある。中体連によると、13~15歳の運動部加盟人数は09年度の約233万人から、18年度に約200万人に減少。スポーツ庁は、48年度には約148万人まで減少すると推計する。各地で部活動の統廃合も進んでいる。
教員の負担軽減も課題だった。引率のほか、教員らが休み返上で準備や運営にあたっていた。教員の残業削減が求められ、公立中部活動の地域移行が始まる中、これまでと同様の開催には無理があろう。
全中は1979年度、スポーツ振興などを目的に始まったが、トップ選手を集めて勝利至上主義の弊害も指摘されてきた。昨年度からは地域スポーツクラブの参加も認められたが、義務教育の部活動で全国一を争う競技大会が必要なのかも含め、在り方を問い直すべき時だろう。
全国高校総体(インターハイ)や国民スポーツ大会(旧国体)も、時代の変化に合わせた改革へ動き始めた。各大会の位置づけなど総合的な青写真も考えたい。
今回、対象外となった競技の選手や関係者からは落胆や困惑の声が上がる。決定までに合意形成を図るなど、丁寧な対応が必要ではなかっただろうか。
各競技の統括団体は新たな全国大会の創設や既存大会への一本化などを検討するという。競技人口の減少も懸念される。子どもたちが安心してスポーツを楽しみ、競技を続けられる環境整備が要る。
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