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社説:鹿児島県警 隠蔽の疑惑、徹底解明を

京都新聞 / 2024年6月19日 16時5分

 鹿児島県警の本部長が警察官の犯罪を隠蔽(いんぺい)しようとしたと、前県警幹部が報道関係者に告発した。

 県警は情報を漏らした疑いで前幹部を逮捕し、別件で報道関係者を強制捜査したことも明らかになっている。本部長は県議会で追及されて隠蔽を否定したが、あいまいな答えが多く、説明責任を果たしているとは言い難い。

 県警は、捜査資料の速やかな破棄を促す内部文書を作っていたことも判明している。

 警察全体への不信を招きかねず、報道の自由を脅かす恐れもある。県警トップが絡む疑惑だけに、警察庁や県の公安委員会など関係機関は真相の解明に向け、徹底して調べてもらいたい。

 県警生え抜きの最高ポストにあたる生活安全部長だった本田尚志容疑者は、退職直後の3月末、県警の不祥事をまとめた文書を札幌市のライターに郵送した。

 ライターはニュースサイトを運営する福岡の男性に送付。サイトは県警に批判的な報道を続けていた。県警はサイトに別件の捜査資料が流失しているとして、4月に情報漏えいの疑い(地方公務員法の守秘義務違反)で曽於署員(懲戒免職、起訴)を逮捕した。

 福岡の男性自宅も捜索し、パソコンなどを押収。そこから本田容疑者の告発文書も見つけ、5月末に同容疑者を逮捕した。

 本田容疑者は裁判の手続きで事実を認めた上で、昨年12月に起きた警察官の盗撮事件を巡り、本部長が「最後のチャンスをやろう」「泳がせよう」と言って捜査書類に本部長印を押さず、「隠蔽しようとした」と語った。

 本部長の野川明輝氏は警察庁のキャリア官僚で、警備の要職や京都府警警務部長などを務めた。一昨年に県警へ赴任したが、強制性交罪での警察官逮捕など不祥事が続き、本田容疑者は「新たな不祥事を恐れたのでは」という。

 警察庁は、県警への監察を行う方針を示す。専門家からは情報漏えいではなく公益通報であり、保護すべき対象との指摘もある。取材源の秘匿を旨とする報道への強制捜査を含め、「口封じ」の権力行使なら容認できない。

 県警は昨年10月、「再審や国賠訴訟等において、破棄せずに保管した捜査書類が組織的にプラスになることはありません」とし、速やかな破棄を求める公文書を捜査員らにメールで送っていた。

 県警内で疑問視され、修正されたというが、看過できない。作成の経緯を含め明らかにすべきだ。

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