1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「僧侶はたくさん稼いでいる」って本当? 京都の僧侶が考える「良いお寺」とは

京都新聞 / 2024年5月11日 11時0分

「地域社会に開かれた寺、あるいは過剰な繁栄や権威を求めず低空飛行している寺が『良いお寺』だと考える」と語る鵜飼さん(京都市右京区・正覚寺)

    その名も「良いお寺研究会」(東京)という一般社団法人がある。浄土宗正覚寺(京都市右京区)の住職・鵜飼秀徳さん(49)が代表を務め、仏教に関する講演や調査、寺院再生などに取り組んでいる。作家・ジャーナリストでもある鵜飼さんが考える「良いお寺」の姿とは。

 2月に情報通信・印刷大手の「TOPPAN」(東京)が開いた社内研修。「企業人にとっての仏教の教え」をテーマに、講師の鵜飼さんが語りかけた。

 近年問題になっている企業のコンプライアンスについて「法令順守さえすればよいというものではない。その前段階で倫理、道徳観に基づいた自己抑制をいかに働かせられるかが重要」と強調。「長年、日本人の道徳観のよりどころとなってきた仏教から学べることは多い」とビジネス活用を勧めた。アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズなど仏教の影響を受けた経営者も紹介した。

 研究会は鵜飼さんらが2018年に設立した。背景には寺院数の減少など仏教を取り巻く環境の悪化に加え、「僧侶はたくさん稼いでいる」といった社会の誤解があった。鵜飼さんは現代的な寺の在り方を模索しつつ、社会と寺をつなぐ役割を担いたいと願う。

 活動の理念に「地域社会に開かれた寺院」を掲げ、寺で障害者アートの展示会を開いたり、能登半島地震による被災寺院の実地調査を担ったりしている。経済系の取材・編集に携わった経験も生かし、無住寺院数など仏教界のさまざまな指標に基づくリサーチや、企業と寺院のマッチングなども行う。

 TOPPANの研修は仏教の知見を取り入れたプログラムで、僧侶や宗門系大学の教授らが講師を務める。研究会は発足時から関わり、仏教の教えを再翻訳して社員に伝えるよう試みている。「2500年続いてきた仏教だからこそ、現代の組織運営にも役立つのではないか」(鵜飼さん)

 活動の根本にある思いは何か。鵜飼さんは「寺は社会にとって役立つ存在だという信念を持っている。寺は、それぞれの特性を生かした門戸の開き方を探るべきだ」と語る。檀信徒の寺離れや僧侶の後継者不足が叫ばれ、信仰の在り方も揺らぐ厳しい時代。だからこそ、寺が果たす役割を再定義して実践しようとしている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください