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「抹茶のお店を」幼い頃の夢を追い続けた男性が京都に茶室を開いた理由 つなぎたい「縁」とは

京都新聞 / 2024年6月22日 18時0分

「茶人として活動する場をお茶の本場、宇治で作りたかった」と語る尾上さん(宇治市宇治・松香庵)

 茶文化にこれまで接点がなかった人も親しめる場に―。そんな願いを込めて昨秋、平等院に近い宇治市中心部に茶室「松香庵(しょうこうあん)」を開設した。茶道と煎茶道でそれぞれ指導できる肩書を持ち、茶の栽培や和菓子製造といった現場も経験してきた強みを生かし、茶の魅力を幅広く発信する。

 尾上宗西(おのうえ・そうさい)さん(36)は、大阪で生まれ育った。サッカーなど外で遊ぶのが好きな少年だったが、親類の家を訪れた時、和室で日本茶を飲んで心が落ち着いた経験から、茶に関心を持つようになった。「非日常な空間や時間の流れにひかれた」。小学校の卒業文集には将来の夢を「抹茶のお店をやりたい」と書いた。

 大学生時代は和束町の茶農家で2シーズン、アルバイトをした。茶摘みや軽トラックでの芽運び、翌年の収穫に備えた茶の木の剪(せん)定…。「大変な現場を知り、『おかげでお茶をたてられる』と感じた」という。

 卒業後は、兵庫県内の上生和菓子店に就職し、3年間にわたって製造現場で職人たちと汗を流した後、10年前から平等院の茶房長を務める。茶道石州流と煎茶道二條流で研さんを重ね、「茶人として独立したい」と考えていた時、平等院ともつながりがある古い空き家を紹介され、改修して松香庵をオープンした。

 茶房長の仕事が休みの日に開けている。茶道体験、継続的な茶道の稽古、オリジナルブレンドの日本茶販売、茶室のレンタル…。茶道体験では、朝がゆ茶会も催してゆっくり過ごせるようにし、客からの質問に丁寧に応じる。自身が茶文化を総合的に学んできた経験が生きる機会だ。

 庭にあるだいだいの実を使った和菓子を出す茶会を開いたり、日中に釜をずっとかけて市民らがぶらりとお茶を楽しみに来られる日を設けたりと、仕掛けは多彩だ。「お茶が縁をつなぎ、コミュニケーションできる茶室にしたい」と語る。

 宗西は茶名で、本名は祥太。

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