「大好きと毎日言っていた」再審無罪の西山さん、男性警察官にうそ自白の経過を法廷で証言
京都新聞 / 2024年6月27日 21時2分
滋賀県東近江市の湖東記念病院の患者死亡を巡り、再審無罪が確定した元看護助手西山美香さん(44)が国と滋賀県に損害賠償を求めた訴訟の第13回口頭弁論が27日、大津地裁(池田聡介裁判長)で開かれ、西山さん本人への尋問が行われた。西山さんは、うその自白をした経緯について、自身を取り調べた県警の男性警察官に恋愛感情を持っていたと説明し「(自白という)大きいことを言えば、警察官が私の話を聞かないといけなくなる。会いたかった」と述べた。
西山さんの代理人の質問に対し「(男性警察官に)好きという思いを抱いた。弁護士より信頼していた」と答えた。「警察官はその気持ちに気付いていたと思うか」との問いには「はい。大好きと毎日言っていた」とした。
男性警察官は取り調べ中に飲食物を提供することもあり、留置場から取調室へ連れ出してくれる存在だと感じていたと述べ、その際の状況を、身ぶりを交えて再現。「誰にも言うな、2人の秘密、と言われうれしかった」と振り返った。
男性警察官が先月の口頭弁論に出廷し、自白の誘導や、自身への恋愛感情に気づいていたかについて「一切ありません」などと証言したことに「うそばかりついてひどいなと思った。違法捜査だと認めてほしかった」と明かした。
提訴した理由について「冤罪(えんざい)で闘う仲間たちのため、再審無罪をもらって人生を取り戻した私ができることだと思った。取り調べの違法性を皆に知ってもらうためです」と裁判官に涙ながらに訴えた。
県側の代理人による質問では、確定審の証言との細かな食い違いなどを指摘され、混乱した西山さんが一時退廷した。
閉廷後の記者会見で、弁護団の松本亜土弁護士は「再審無罪が出ても解決ではなく、今も西山さんは苦しんでいる。県警の取り調べが冤罪を招いたのは明らかで、運用を改めて振り返るべきだ」と非難した。
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