京都の茶どころで15年ぶり採用の茶専門技師「ペットボトルとはかけ離れた味」奥深さに魅了された20歳
京都新聞 / 2024年7月8日 16時0分
高校時代、教師がいれた煎茶を飲んで衝撃を受けた。「ペットボトルのお茶とはかけ離れた味がする」。初めて茶の味を意識し、そのおいしさに感動した。将来は茶に関わる仕事がしたい―。藤井義之さん(20)は夢をかなえ、4月から京都府宇治田原町で茶の専門技師になった。
京都府城陽市で生まれ、祖父の畑で野菜づくりを手伝っていたこともあり、木津高(木津川市木津)のシステム園芸科で野菜の生産を学んだ。学校には茶業を指導する教師もおり、「専門家」がいれた茶のおいしさや、温度や抽出時間で味わいが変わる奥深さに魅了されたという。
京都府立農業大学校(綾部市位田町)の茶業経営コースに進み、2年間、栽培から製造、品質評価まで、緑茶についてみっちりと学んだ。卒業生は茶農家になる場合が多いというが、「日本緑茶発祥の地」を掲げ、茶どころとして有名な宇治田原町に興味を持った。在学中に町役場で2カ月間のインターンを経験し、就職を決めた。宇治田原町は府内自治体でも珍しい茶専門技師の職員が1人おり、先輩に続き約15年ぶりの採用となった。
4月は町内の茶農家をまわり適切な収穫時期を確認した。間違えると味が落ちるため気候の変化を見極めるのが大切だ。5月から茶摘みが始まると午前6時ごろには茶畑に入り、手摘みの場合は「摘み子」へやり方も教える。茶摘みと同日に行う製茶作業では、午前2時まで茶工場に詰めることもあるという。
現在は茶品評会の準備に忙しい。慣れない事務作業に苦戦することもあるが「農家さんから学び、茶以外の話もして、関係が深まる日々が楽しい」と、茶農家によりそう技師の仕事の魅力を話す。茶に関する業務以外にも、所属する産業観光課で補助金交付事務などを受け持つため「まずは町の皆さんに覚えてもらえる職員を目指したい」という。
茶業に興味を持ったきっかけは、お茶のおいしさだった。担い手不足が進む業界を支えるためにも、まずは多くの人に町を訪れ「茶の味」を知ってほしいと願う。城陽市寺田。
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