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社説:首都の審判 見えた深刻な政党不信

京都新聞 / 2024年7月10日 16時0分

 既成政党への不信感が表れたといえよう。

 東京都知事選で無所属現職の小池百合子氏が3選を果たした。支援を受けた自民党を後方に回し、高い知名度を前面に集票した。

 立憲民主党参院議員だった蓮舫氏は共産党の支援も受け、事実上の与野党対決とみられたが、3位に沈んだ。次点に入ったのは、組織や地盤がなく「完全無所属」を掲げた前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏だった。日本維新の会は独自候補を擁立できなかった。

 自民は同時に行われた都議補選で2勝6敗と大敗した。派閥の裏金事件への対応で失態を重ね、支持率が2割台に低迷する岸田文雄政権への逆風の強さは明らかだ。

 一方、野党が批判の確かな受け皿になっていないことも露呈した形である。

 各党は有権者の厳しい民意を受け止め、党の立て直しと、中途半端なままの政治改革に本気で取り組む姿勢が求められる。

 都政への影響力を維持したい自民と、その組織力は得たいが、不祥事色は消したい小池氏の思惑が一致し、国会議員が応援に立たない「自民隠し」選挙となった。

 小池氏は批判を受けやすい公開討論会や街頭演説にほとんど出ず、「失点回避」の守り戦術に徹したようだ。投票率は60%超と前回から約5ポイント上がったが、小池氏は約74万票減らした。

 小池氏は独善に陥らず、都道府県のリーダーとして地方自治を底上げする施策を試みてほしい。

 自民は都議補選の結果こそ直視するべきだ。秋の総裁選へ「新たな顔」を擁立する動きも強まっているが、裏金事件を棚に上げて国民の信頼回復はあり得まい。

 共同通信の出口調査で「支持政党なし」の無党派層は、石丸氏が37%とトップで、小池氏が30%、蓮舫氏は16%にとどまった。

 石丸氏は街頭演説を短時間で終えて「続きはウェブで」「選挙を楽しもう」と呼びかけ、交流サイト(SNS)での動画拡散に力を入れた。出口調査では18~29歳の4割が石丸氏に投じた。公約に具体性は欠いたが、若者の関心を堀り起こし、「古い政治」への不信感を一定吸収したとみられる。

 蓮舫氏は国会議員の応援が目立ち、発言のぶれが指摘されるなど後半に失速した感がある。対立軸や野党連携の打ち出し方を含め、立民は敗因を検証すべきだ。

 知事選では、ポスター掲示板の枠を転売するような悪質な行為もみられた。与野党の議論が要る。

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