「山と川で遊び尽くした経験が原点」 小学6年で飛び込んだ山村留学の地、京都・美山に帰ってきた大学生
京都新聞 / 2024年7月11日 11時20分
山村留学を卒業して12年、京都府南丹市美山町へ帰ってきた森山玖実(くみ)さん(24)。
山と川で遊び尽くした経験が原点となり、今は大学院で全国の山村留学を研究している。現場経験も改めて深めようと、美山でアウトドアや農業のアルバイトに今春から汗を流している。
城陽市出身。昨年まで続いた美山の山村留学には兄が先に参加し、市美山山村留学センター「四季の里」に暮らしながら旧知井小に通っていた。自らも「外遊びが大好き」。何年も悩んだ末、小学6年だった2011年度に飛び込んだ。
当時の留学生は10人弱。川で魚を捕り、雪山でおにごっこ。「決まった遊び方はない。自分たちで考え、わくわくした」。週1回泊まった地元の「里親」宅では夕食に毎回好物のホッケが並んだ。森も案内してもらい、地域の温かさに触れた。
中学からは城陽市に帰り、美山で鍛えた足腰を生かして陸上部で活躍。スポーツを学ぼうと筑波大に進んだ。競技で疲弊した心身が緑に癒やされてきた理由に興味を持ち、キャンプなど野外運動の研究を選んだ。
大学院で研究中の各地の山村留学では、美山での経験者にも聞き取りをした。多くの人に共通するのは「悩んだ時、ふと思い出して落ち着く」こと。「原点に立ち戻る感じかもしれない」
留学時代のつながりをたどり、4月から8カ月、美山で過ごすと決めた。大学を休学し、ツアーも営む宿「芦生山の家」と農園などの「江和ランド」に勤めている。
芦生では掃除や備品の管理に加え、ツアーにも加わる。朽ちた倒木から伸びる若木やキノコに「森の循環や長い時間を感じる」。江和では泥にまみれ、米や野菜の有機栽培をしている。
年末に大学院へ戻るが将来も「自然体験に関わりたい」。野外で力を合わせることは、自分の可能性や他人の新しい一面に気づく機会となる。特に子どもにとって「柔軟に遊び、予想外のことに出合う経験は忘れられず、身になる」。野山の魅力を次代にも伝えていく。
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