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社説:子どもの貧困 解消へ地域格差なくせ

京都新聞 / 2024年7月11日 16時5分

 経済的な困難を抱える子どもや若者たちの現実を直視し、未来への支えの手を確かにしたい。

 先の通常国会で「こどもの貧困解消法」が成立した。2014年に施行された子どもの貧困対策推進法の改正法案として、超党派の議員連盟が提案した。

 現在の貧困の解消だけでなく、将来的な貧困を防ぐことを掲げた。貧困を、その家族の責任としてのみ捉えるべきではないことも明記し、孤立することのない社会を実現するとしている。

 施行後10年の対策推進法は、子どもの貧困を社会問題として「可視化」したとされる。同法に基づき国は大綱をまとめ、所得額などを基に算出する「子どもの貧困率」など39の指標を導入。子育て世帯の就労や生活の支援、保育や教育の無償化などを進めた。

 今回、法を改正し「貧困解消」を明示した背景には、自治体や地域間での貧困対策のばらつきが顕著になってきたことなどがある。危機感を深めた支援団体などが議連に働きかけてきた。

 中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす「子どもの貧困率」は15年の13.9%から21年には11.5%へと改善し、経済協力開発機構(OECD)の加盟37か国平均(12.4%)を下回った。ただ、共働きの増加や高齢の低所得者の増加などが主な要因で、社会保障の充実によるものではないと指摘されている。

 ひとり親世帯の貧困率は44.5%と、OECD平均の31%を大幅に上回り、大学などへの進学率も全世帯の約84%に対し約65%にとどまっている。

 「解消法」では、こうした貧困の実態を詳細に把握するための調査研究の推進や、離婚後のひとり親への養育費支払いを促すための調査・検証などを盛り込んだ。

 また、貧困問題に取り組む民間団体に対し、国や自治体が財政面を含めた支援をすると明記した。地域の貧困解消策に、従来以上に実効性を持たせる狙いがある。

 厳しい環境にいる子どもや若者たちに伴走しているNPOなどは京都、滋賀にも多い。行政は、「お任せ」や「下請け」とせず、後押ししたい。資金支援や連携協力を着実に進める必要がある。

 子ども基本法に基づき昨年策定した政府指針「こども大綱」にも「子どもの貧困解消」が盛り込まれた。こども政策を包括的に拡充する中で、困難な子どもたちこそ、社会全体で支えるには国民の理解と協力が欠かせない。

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