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「私の30年間はさくらちゃんのため」戦禍のウクライナの子どもに、手作り人形を贈る作家の思いとは

京都新聞 / 2024年7月12日 8時0分

「さくらちゃん」の活動をできる限り続けていきたいと話す藤後さん(大津市比叡平3丁目)

 人形を胸に抱いて笑う子どもたちの写真が、藤後俊子(とうご・としこ)さん(78) =大津市=自宅に飾られている。ロシアの侵攻にさらされているウクライナの子どもたちだ。かわいらしい柄の服を着たつぶらな瞳の人形は「さくらちゃん」。昨年から手作り人形をウクライナに贈る活動をしている。

 人形作りは40代後半から始めた。原型は母親の故光武栄子さんが、3人いる自分の娘たちに作ってくれた人形だ。「母のお人形はとってもかわいかった」とほほえむ。娘たちが成長したのをきっかけに、いったん解体して構造などを調べた。それ以降、工夫しながら自分なりの作風を確立していった。

 「人を癒やすような、笑顔にするような愛らしいお人形を作りたい」。作品展を開催したり、人に教えたりするようになった。

 ウクライナとの縁は、昨年に地元の自治会が開催したウクライナ支援の催しで生まれた。「人形が『私も行きたい』と言っている気がした」。自らが作った人形を抱いて参加し、そこで日本に避難していたウクライナ人の女性と出会った。

 「私は何もできないけど、このお人形を知り合いの子どもさんに渡してください」と話しかけると、女性は涙を流して喜んでくれた。そのときの女性の言葉を覚えている。「子どもたちに希望がなくなったら国の将来はない。お人形を抱っこさせてあげたい」

 今では教室の生徒ら約20人が賛同し、活動に関わっている。これまで74体が子どもの手に渡った。受け取った子どもの写真が届くのが励みとなっている。

 「子どもたちの笑顔を大人が消してはいけない。私が30年間、お人形作りをしてきたのはさくらちゃんのためだったと思う。できる限り続けていきたい」

      ◇

 活動を続けていくため、帽子型のマグネットやブローチなどを「さくらちゃんハット」として1個500円で販売している。問い合わせは080(1439)4455。

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