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社説:兵庫知事告発 疑惑隠しの不信拭えぬ

京都新聞 / 2024年7月18日 16時0分

 自治体トップの不正を組織で握りつぶそうとしたのではないか-。渦巻く住民の不信感に真摯(しんし)に向き合わねばならない。

 兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発した文書を巡り、県政が大きく揺らいでいる。

 斎藤氏は告発を「誹謗(ひぼう)中傷」と断じた。文書を作成・配布した元県西播磨県民局長の男性は懲戒処分を受けた後、死亡した。

 告発内容を裏付ける情報が相次ぎ表面化する中、斎藤氏の対応に批判が高まり、県議会は調査特別委員会(百条委員会)を設けて真相究明に乗りだした。

 事態の責任を取るとして片山安孝副知事が辞表を提出したが、議会与党を含め県庁内外から知事の辞職を求める声が噴出している。

 斎藤氏は「選挙で負託を受けている」と続投意向を崩さない。ならば自らの疑惑と責任から逃げず、進んで明らかにすべきだ。

 男性が3月、県議や報道機関に配布した文書で告発したのは、過度のパワハラ、事業者からの物品の受け取りなど7項目に及ぶ。

 これを斎藤氏は記者会見で「うそ八百」と強く非難し、局長からの解任を発表した。内部調査した県は5月、「核心的な部分が事実ではない」として男性を停職3カ月とした。

 ところが、斎藤氏が出張先で公用車から20メートル歩かされただけで職員を怒鳴り散らしたパワハラ行為や、視察先企業から県側に物品提供があった事実関係が判明。県議会は強い調査権限を持つ百条委設置を決めた。男性は出席を予定していたが、自死したとみられる。

 最大の問題は、組織内の不適切な問題を訴えた内部告発者を、なぜ守れなかったのかだ。

 男性は告発文書の配布後、県の公益通報窓口に通報した。県はその調査中だったにもかかわらず、通報前の告発は「保護の対象外」とし、別の内部調査で処分した。

 だが、県トップの不正・パワハラという性質上、男性が県通報窓口の問題対応を不安視して外部連絡したのは理解できる。

 実際、処分につながった内部調査に協力した弁護士は、告発文書で知事のパーティー券購入に関与したと指摘された県信用保証協会の顧問だった。中立性が疑われる。

 告発者をおとしめて知事の疑惑を組織的に隠そうとしたと言われても仕方あるまい。

 再調査を行う県の第三者委員会と県議会百条委で、疑惑の全容解明とともに、告発者を追い込んだ対応の徹底した検証が必須だ。

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