水族館×ストリートピアノ!? 環境と生き物を考えるきっかけ作りに奔走 「研究所」所長の思い
京都新聞 / 2024年7月19日 8時0分
JR長浜駅東側にあるビル「えきまちテラスながはま」(滋賀県長浜市北船町)の1階に展示した約60個の水槽でメダカや琵琶湖固有種のニゴロブナなど約80種の淡水魚が泳ぎ回る。駅の乗降客らが立ち寄って眺めることも多い。向田直人(むかいだ・なおと)さん(59)は、維持管理にあたるNPO法人「近江淡水生物研究所」の所長として「琵琶湖の魚を通じて環境問題に関心を持ってもらいたい」と話す。
子どもの頃から魚や昆虫を飼育するなど生き物好きだった。「生き物がすむ自然を守りたい」との思いは大人になってからも持ち続け、琵琶湖博物館(滋賀県草津市)であったフォーラムで出会った同じ思いの仲間たちと2018年に研究所を発足させた。
活動は多岐にわたる。21年に現在の展示形態になった「小さなびわ湖水族館」は年間3万~4万人が訪れ、今春からは県のびわ湖フローティングスクール「うみのこ」に参加する児童の立ち寄り場所になった。講師を招いた生物や環境の学習会を開くほか、「水族館」の隣に置いてある「ストリートピアノ」を使った無料コンサートも企画する。
一見畑違いな演奏会を開いてまで水族館に目を向けてもらいたいと考えるのは環境破壊が続く状況に危機感を持つからだ。「本来繁殖力が強いメダカが、すみかだった川がコンクリートで固められて生息できなくなり、絶滅危惧種になっている。生き物に都合が悪い環境は、人間にとっても同じなはず。だから生物多様性を維持することが大切なんです」と訴える。
将来的には、メダカなど生き物が生息できる場所「ハビタット・ゾーン」を市内に設けたいと願う。「耕作放棄地を活用するなどして実現できれば」と胸を膨らませる。
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