社説:コロナ「第11波」 早めの受診心がけたい
京都新聞 / 2024年7月25日 16時5分
新型コロナウイルスの感染者が増え、流行の「第11波」に入ったとの見方が強まっている。過去の流行でも夏に拡大する傾向があり、警戒を強めたい。
厚生労働省に今月8~14日、全国の定点医療機関から報告された感染者数は、前週から1万5千人余り増えて約5万5千人となった。
1医療機関当たりでは11.18人と10週連続の増加で、インフルエンザなら流行の注意報を出す基準の10人を超えている。
45都府県で前週より増え、九州、沖縄が多い傾向という。京都は9.48人、滋賀は8.8人で、保健所の管内別では10人超の地域も複数出ている。
連日の猛暑で高齢者をはじめ体力を消耗しやすい時期である。専門家は、換気や手洗いといった対策を徹底し、発熱など体調不良の場合は早めに診察を受けるよう呼びかけている。
心配なのは、受診控えの広がりだ。感染症法上の「5類」移行後、国が医療費の全額を公費で賄う支援を今年3月に終了し、診療や入院、処方薬にかかる負担額は大幅に上がった背景がある。
処方される新型コロナの飲み薬は、3割負担の患者の場合で5日分が約1万5千~約3万円。ワクチン接種は65歳以上と基礎疾患のある60~64歳を対象とした定期接種が10月から始まるが、自己負担は最大7千円の見通しという。
同じ「5類」の季節性インフルエンザと比べて高額で、長引く物価高の中、経済的負担にためらいを感じる人は多いのではないか。
京都府内でも、公費補助が終了して以降、重症化した患者が増加傾向にあるとの医師の指摘もある。所得に応じて負担限度額を設定する高額療養費制度があるにせよ、国や都道府県は医療現場の現状をこまめに把握し、臨機応変な対応が求められよう。
現在の感染拡大の主流は、今年初めに多く検出された株が変異した「KP・3」で、感染やワクチンで獲得した免疫を逃れる力が強いとの分析結果も出ている。
京都府と京都市によると、「5類」に移行した昨年5月までに新型コロナに感染したのは、府民の27%に当たる延べ約68万人とみられる。これまで感染しなかった人にも広がるリスクに留意したい。
後遺症に苦しむ人たちの支援も課題となっている。受診できる医療機関は京滋でも公表されているが、現場では処方の指針もなく手探りの治療が続く。相談体制も含めて対策の強化が欠かせない。
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