「暴力は社会をゆがめ、幸せを奪う」京都の日本近現代史教授が語る「神足空襲」と戦時資料
京都新聞 / 2024年7月28日 10時0分
太平洋戦争末期の「神足空襲」があった19日を前に、児童が平和について学ぶ授業が、京都府長岡京市井ノ内の長岡第十小で開かれた。市平和ビジョン懇談会元会長の小林啓治京都府立大教授(日本近現代史)が戦時を伝える文書の内容を紹介し、命や人格を尊び、考えを自由に表現し合える社会の大切さを訴えた。
1945年の神足空襲では神足地域の工場などが米軍の銃撃を受け、16歳の少女が死亡、複数人が負傷した。市はこの日を「平和の日」と定めている。
小林教授は、満州事変や日中戦争も含めて日本が戦争に向かった時代について説明。神足空襲で被弾した工場の煙突の写真や、犠牲になった少女の姉による手記、戦時資料「神足月報」に掲載された小学生の勤労奉仕の様子を写した写真や戦地の兵士に宛てた手紙を紹介し、地域や子どもが戦争に巻き込まれていった様子を語った。「戦時中は情報統制で戦地の状況が正確に伝わらなかった」とした上で「戦争では必ず被害が起き、亡くなる人が出ているということを考えて」と述べた。
また長岡京市の平和に関する行事や情報発信の取り組みを挙げ、「平和とは戦争がないだけでなく、一人一人の生命や人格が尊重され、考えを自由に表現できること」などと強調。「暴力は社会をゆがめ、幸せを奪う。自分の命、幸せを大事にすることから出発し、平和について考えてほしい」と語りかけた。
6年生約50人が耳を傾け、「世界で起きている戦争や戦いについてもしっかり知りたい」「平和を大切にする取り組みが続けられていていいなと思った」との感想が聞かれた。
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